2010/03/19 05:24 | 昨日の出来事から | コメント(0)
最近、EU内で起こっている気になる動き
昨日、イタリアの検察当局は、UBS、ドイツ銀行、JP モルガン チェース、 デプファ銀行を、2005年から2007年にかけて発行されたミラノ市債に絡んだデリバティブ債券(発行額1.68bnユーロ、日本円で約2000億円)によって、約100百万ユーロの不正な利益を上げたとして告訴すると発表しました。
検察によりますと、これらの銀行に加えて、11名の現在も働く職員と既に退職した2名のヒアリングを5月6日から始めるとのことです。
また、これ以前には、2月以降に顕在化したギリシャの財政問題に端を発したギリシャ国債の暴落やユーロの下落をうけて、今、EU内でCDS(クレジット デリバティブ スワップ)の取引をヘッジのみに認める方向で規制しようとしています。
EUによるギリシャのCDSの規制といい、イタリアのミラノ市債の検察による起訴といい、これまでの金融取引を否定、もしくは規制する動きが最近になって顕在化しています。 当局とすれば、国民から「税金を使って救済する前に、何か手を打て!」というプレッシャーからこうした動きに出たものと思われますが、これでは問題の本質を分かり辛くしてしまいます。 この延長で行われる議論と言えば、大衆心理に訴えて「ヘッジ ファンドが悪巧みをした」とか、「銀行がだまして投資家に不利な商品を売り付けた」とか、究極的には「誰々がこの取引でいくらのボーナスをもらった」などといった暴露話となって、世間の関心がそちらに移ってしまいかねません。
しかし、そもそものこの問題の本質は、「当のギリシャやイタリアが、自らの財政規律のなさから財政破綻の懸念が出て、投機対象になって市場から売りを浴び、こうしたことにならないように、どうやって財政規律を回復するか」が大事なのにもかかわらず、 最近の当局の動きを見ていると、問題の本質から逸脱して違う方向に向かいかねない事態に、問題の根深さを感じずにはいられません。
詳しくは。ウィークリー ミーティングで、私も経験した「当局の規制とはどんなものであったか」を交えながら、詳しく検討してみたいと思います。
それでは、良い週末をお過ごしください。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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