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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/03/25 05:35  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

東日本大震災から2週間の出来事から


おはようございます。

今日で3月11日の大震災から2週間が経ちました。 改めまして今回の大震災で被害を受けられた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

さて、今回の大震災の名称については、東北関東大震災、あるいは東日本大震災、はたまた東北地方太平洋沖地震と、様々な言われ方をして今もって定まりません(未だ多数の行方不明者がいる中、「正式名称などはどうでもよく、後からの話でいい」と言ってしまえばそれまでですが)。このように大震災の正式名称の定まらない2週間にあって、私なりに幾つか気付いた事がありましたのでそれについて述べたいと思います。

(1)一つ目は、ご存じの通り、政治家や一部経済人の暴言、暴挙です。 ただでさえ計画停電で国民が不自由を強いられている中、プロ野球のナイターを強行しようとするどこかの球団のオーナーがいたと思えば、これまたどこかの首相が東京電力に乗り込んで恫喝し、更には命がけで放水活動を行おうとしている消防隊員に恐喝めいた事を言った大臣がいたと聞き、「日本は、一体、どうなっているのだ?」と仰け反ってしまいました。 挙げ句には、これまた、どこかの首相が、危機的大災害を理由に野党に政権参加を呼び掛け、私は「これは第2次世界大戦前の大政翼賛会と同じ発想ではないか?」と危惧しました。 幸いに自民党によって一蹴されたのは、民主主義的政策決定プロセスの最後の一線が守られたという点では、個人的にはこれで良かったと思っています(自民党がそういった大局的な観点で拒否したかどうかは別にして)。

(2)これに直接関連しているという訳でもないかもしれませんが、一昨日、最高裁判所は、2008年に行われた衆議院選挙の一票の格差は違憲状態であるとし、一票の格差の弊害の元凶である「一人別枠方式(選挙民の数に関係なく一県に最低、一人の衆議議員を選ぶ方式)」の廃止にまで踏み込んで抜本的改革を立法府に迫りました。これも、本来の「一票の価値は平等であるべき」という民主主義の最低ラインを守り抜こうとしている表れだと思います。 また、それまでの中選挙区制時代では、一票の格差を3倍以上は違憲状態としていましたが、今回は2倍以上を違憲状態とし、更なる平等な選挙を求めています。 

(3)一方で、現在の菅内閣ですが、大震災前までは「いつ、衆議院解散総選挙をするか」に焦点が絞られていた国会運営でしたが、今回の大震災によって、東北地方は壊滅的な打撃を受けて選挙どころではなくなり、 4月の統一地方選挙さえも今後の見通しが立たない状況です(法律では2カ月から6カ月の延期を認めていますが、そんな短期間で復興できるとはとても思えません)。 これに関連して、どこぞの府議会議長が今回の大震災を「天の恵み」と不見識極まりない事を言って、自民党推薦を取り消されましたが、次の衆議院総選挙は、場合によっては2013年の任期満了までない可能性すら出てきていると思います。 私は、これを「天からの恵み」ではなく、逆に「天からの試練」として、政治家は職責を全うしてほしいと思うのですが、これまでの余りにも酷い政治を見るにつけ、期待したくても期待できません。

(4)そして、最後に、今回の大震災で被害に遭われた方には、まずは御自身や家族の、更には地域社会の一刻も早い復興を願うと同時に、私達、同じ共同体に生きる者としては、協力できることは協力し、各個人ベースでは自分の出来る範囲の事にベストを尽くすしかありません。 そして、最も大事なことは、私達は自分たちの周りで起こっている事、あるいは起ころうとしている事に対し「それが民主主義の精神に則っているか?」、あるいは「個人の尊厳や自由、更には私達の大切な財産を守る事につながるのか?」という観点から、世の中の動き、特に政治家の動きを注意深く見るべきです(政治家の保身、責任転嫁、土地ころがし、買い占め、談合、口利きに目を光らせましょう!)。

今週号の英誌エコノミストも、「今後、日本人は、災害後の日本の在り方、特に原子力発電所とどう向き合うのかといった問題に直面しなければいけない。 その際に必要な事は、言論の自由の下、民主主義的に広く透明性の高い議論がなされる事であり、隣の中国と違って、日本にはそれが可能である」と述べています。 

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One comment on “東日本大震災から2週間の出来事から
  1. ベルドン より
    大混乱のドサクサに紛れて

    日本が・・民主主義を捨てかねない・・外国勢は・・恐れを・・過去の亡霊を・・観ているのでしょう・・
    復興を急ぐあまり・・一時的に・・強権的にならざるをえない・・無能で・・極左思想が・・根底にある政権にとっては・・政権維持が・・全て・・
    となると・・
    大いなる危惧が・・生じている・・・

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