2010/08/31 05:27 | 昨日の出来事から | コメント(1)
白川日銀総裁の想い出
昨日、日本銀行は臨時の金融政策決定会合を開いて更なる量的緩和に踏み切りました。 金融政策変更の後の市場関係者の評価は「既に織り込み済み」とか、「遅きに失した感あり」等、あまり評価しない声が大半でしたが、僕は「先手を打って来ているなあ。 日銀は、日本経済が今後、相当悪くなる可能性がある事が分かっているのではないか」と感じました。
さて、今日は、僕の知っている白川総裁の想い出についてお話したいと思います。とはいっても、私の存じ上げている白川総裁は、総裁がまだ理事(金融政策担当)の頃(2004年)の話です。今はどうか知りませんが、当時は日本銀行のオペに参加している主要金融機関との懇親会が1年に何度か行われていて、その時は、日本銀行が量的緩和を34兆円程度まで増額した直後で、その懇親会で白川理事が挨拶をされ、
「先の金融政策決定会合で量的緩和34兆円程度まで増額することが決まるまでは、量的緩和をどこまで増やせばいいか、連日悩んでおりまして、開けても暮れても量的緩和の事ばかりでした。先日も、その事を考えながら出勤しておりまして、いつも出勤途中に(スターバックス)コーヒーショップでカフェラテを買うのが日課でして、いつものように注文したら、(スタバ)のスタッフから『340円です』と言われた筈なのに、『34兆円』と聞きちがえて、『えええっ??!! 34兆円?』と聞き直して、『いいえ!340円です』と笑われてしまいました」と、34兆円程度の量的緩和前夜の日銀内の苦労話を面白可笑しく話されていました。
また、当時の白川理事は「私は、市場コメントに関するどんな記事にも目を通しています。特に、私は、キワモノのコメントが好きで、楽しく読ませていただいていますので、是非、読んで楽しい記事をお願いします」ともおっしゃっていました。
その方が、今、日銀総裁です。
「何が言いたいか?」と言えば、白川総裁は、市場の事を大変よく知っていらっしゃいます。また、よく注視されています。だから、通常であれば、民主党の代表選の後でもよかった金融政策の変更を、以下の3つ理由で敢えて先手を打ってきたのではないかと私は考えています。つまり(1)日本経済が予想以上に悪化する可能性がある事を日銀はわかっている、 (2)金融政策を民主党代表選に絡めて政局に巻き込まれたくない、(3)アメリカのFRBも早々に更なる金融緩和をする可能性があり、その前に日本が金融緩和をすることでこれ以上の円高マインドを冷やす必要があった。
ところで、今でこそ、量的緩和という金融政策(日本、アメリカ、イギリス、ユーロで実施中)は、中央銀行の金融調整の一つに定着していますが、当時(2001−2006年)頃は、世界中から「意味のない金融政策、あるいはヘリコプターから札をバラまいている」とバカにされたのでした。 そうした歴史的に前例のない量的緩和政策を、それこそおっかなびっくりで先頭きってやった(正しくは、やらざるを得なかった)のが日本銀行だったのです。
今後、世界の主要先進国は、自国の景気の悪化を防ぐ事を「錦の御旗」に、自国通貨安を誘導する量的緩和合戦になり事が予想されます。
ところで、今、スタバのレギュラーのカフェラテっていくらでしたっけ?
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “白川日銀総裁の想い出”
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日銀総裁が・・最も必要とするのは・・博才・・
博才がなければ・・如何なる対策も・・机上の論・・
我国の日銀総裁は・・当然あるだろう・・
百ドル札一枚渡されても・・
カジノを出る時は・・ズボンのポケットは・・盛り上がっている・・誤解される程・・
バーナンキに・・この才が・・あるだろうか・?・・他の中央銀行総裁に・・あるだろうか・??・・
G7は・・ルーレットを・・真ん中に・・会議をする・・と伝えられる・・・
今度会った時・・尋ねて下さい・・・