2011/02/27 09:48 | 昨日の出来事から | コメント(1)
10年後には、民主党も自民党も存在しない?!
おはようございます。
先週は、リビヤの民主化デモが内乱と化し、非常に緊迫しています。 リビアにある大きな4つの部族のうち、3つは既に反政府側についており、残り一の部族はカダフィー大佐の出身部族だけで、大勢はほぼ決着がついたように思います。 しかし、そこはこれまで“超独裁体制”を作り上げた独裁者であり、最後の悪あがきは、想像を越えるものがありそうです(何をしでかすか分からない)。
こうした事については、既に様々なメディアが発信していますのでそれを読んでいただくとして、今日は、ちょっと違った事についてお話ししてみたいと思います(勿論 中東情勢に関する事ですが)。
話は、エジプトに戻り、IMF等の統計に拠りますと「エジプトの国民の内、約60%は1日の生活費が2ドル以下である」となっていますが、読者の皆様は不思議にお思いになりませんか? 「1日2ドル以下で、どうやって生活しているのだろか?そして、一日、2ドルの生活費で若者がどうやって携帯電話やインターネットをするの?」と。 あるいは、「これは統計が間違っているのではないか?」とお思いになるかもしれません。
ですが、実際に、多くのエジプト人の所得は、確かに1日2ドル以下なのです。つまり、統計そのものは間違っていません。 実は、これにはカラクリがあり、実際にエジプトに住んで見ればすぐわかります。
恐らく、私が25年前に経験したのと同じように現在もそのまま残っているのだと思われますが(何故ならば、25年前からつい最近まで政権を担当していたのはムバラク大統領だった為)、エジプトと言う国の経済は2つの経済に分断されているのです。 「経済が分断?」と訝しく思われるともいますが、実は、以下のような仕組みになっています。
エジプトでは、全ての大人の国民一人一人にIDカードが支給されており、このカードには写真が添付されてあります。 そして、1週間に1回、街では各地区、あるいは地方では村単位に集会所みたいなところがあって、そこで1週間分のパンと、砂糖や紅茶等の生活必需品を、我々外国人が一般的に購入する価格の10分の1ぐらいの値段で買う事が出来るのです。当時、私が、食パン1斤を当時の日本円に換算して400円ぐらいで買っていましたが、彼らは20枚ぐらいのパン(エイシュ といって、インド料理の ナンみたいなもの)を、何と25円程度で買えたのです。 現地のエジプト人の友人に「僕も買う事が出来るか?」と尋ねたら、即座にアラビア語で「LA!」(英語のNO!)でした。何故ならば、最初にも申し上げましたが、政府が発行した本人の顔写真付きのIDカードがないと売ってもらえないのです。
この政策のおかげで、エジプトでは貧しい人々の不満を抑え込むことに成功し、ご存じのようにムバラク政権は30年に亘って表向きは政治的に安定させることに成功しました。 しかし、これらの安いパンや砂糖などの生活必需品は、世界的な商品価格相場からしても滅茶苦茶に安いものであり、政府は市場価格との差額を負担して、タダ同然で配給していたのでした。 ではその政府が負担する価格の差額は何処から調達するかと言えば、それこそが、毎年、アメリカや日本をはじめとする欧米各国からの中東和平援助金だったのです。
このような二重経済の仕組みは、経済のいたるところに存在し、当然のことながら外国為替の世界でもあり、25年前当時で政府の設定するエジプト ポンドとアメリカドルの交換レートは、闇市で交換される為替レートに比べて1.5倍から2倍近くも「かい離」(エジプト ポンド高米ドル安)していました。
その結果、エジプトでは、国内的には、ただ同然の値段で生活必需品をバラまくことで、表向きは政治的に安定させつつ、マクロ経済的には30年間に亘り停滞が続くことになり、経済が発展しませんので新規雇用が増えず、それが失業率、特に若者の失業率の急上昇につながったのでした。 更に、こうした政府の政策に対する不平不満を口にする事を厳しく取り締まりましたので(言論統制)、益々国民の不満は高まり、いつ反乱が起きてもいい条件は既に十分整っていたのでした(事実、過去において、小さな暴動や反乱は、しばしばありました)。それが今回の国民的な革命となって爆発したのでした。
その後の出来事は、読者の皆様もご存じの通りです。
今回の一連のエジプトの出来事を顧みながら、今の日本政府のやっている事を考えてみますと、実に多くの暗示が含まれていることに気付きます。 現民主党政権が、自民党からの政権奪取と自らの長期政権維持を目論んで、何の財源の裏付けもなく目先的な人気取りに走り、国民にバラまくだけバラまいて(高速道路の無料化、子供手当、戸別農家支援金、等)、 その結果、財政政策の選択余地はますますなくなり、将来のビジョンは場当たり的に右往左往するだけで定まらず、おかげでマクロ経済は停滞し、企業は将来の見通しが立たない日本国内の新規事業を控えて海外での事業拡大に走り、その結果、新規の雇用は先細りし、若者の失業率は上昇して、若い世代の不満は増すばかり、、、、。
バブルが弾けて既に20年が経ち、あと10年もこんな状態が続けば、我々が、今回、エジプトで見たような出来事の日本版が起きてもおかしくないほど、今の日本の政治の仕組みが既に破綻していることを今回のエジプト革命は暗示しています。幸いにして、今のところ、日本では、言論の自由と民主主義は確保されていますが、それでも、10年後には今の政権担当である民主党も、そして、かつての政権担当である自民党も存在しない可能性は十分あると思います。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
現在有料版にはお申し込みいただけませんのでご了承ください。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
One comment on “10年後には、民主党も自民党も存在しない?!”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
言葉の・・ステロイド剤・・
副作用が・・強い・・
十年後・・十歳年取っている・・確実性・・
ローマ帝国のパンが・・エジプトで・・生きていた・・
財源の裏付け・・
こんな事を続ければ・・破産する・・ローマの官僚の言・・
実際には・・滅亡は・・ゴート族の反乱だった・・ローマへの水道橋を壊され・・ローマは・・放棄された・・・