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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/08/25 05:51  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

「国債の担保は何かね?!」


おはようございます。

昨日、ムーディーズが、日本の長期債務信用格付けをAAからAA−に引き下げしました。 これに伴って、日本国債を大量に抱えている邦銀の格付けも一斉に引き下げられました。 読者の皆様の中には「民間の格付け会社が行う格付け変更なんて大した問題ではないし、日本の10年国債が1%程度まで買われている現状を見れば、全然問題ない」とお考えの方も多いのではないかと思います。ですが、それって本当に大丈夫ですか? 

かつて、私が働いていた住友銀行のALM会議で、その時の頭取でいらっしゃった磯田 一郎頭取が「君たちは、国債を沢山買っているが、そもそも国債の担保は何かね?」と質問され、その場が一瞬凍りつき、私の所属していた部の企画担当者が「一般的には国債の担保は、その国の財政規律と徴税能力とされ、我が国の場合も同様と思われます」とお答えして辛うじてその場をしのいだと後日談を聞かせていただいたことを思い出します。

この国債の担保とされる「財政規律」とは、簡単に言ってしまえば、景気が悪い時には赤字国債を発行するのは仕方ないとしても、景気がいい時にはそれまでの赤字国債を返済し、赤字国債が返済能力を越えて増大しないように(あるいは次世代の国民に負担(迷惑)にならないように)管理する事です。 そして、「徴税能力」とは、簡単に言ってしまえば、国民から税金を取る力(執行力)の事です。

日本の赤字国債は第2次石油危機(1979年)の経済危機を乗り越える為に初めて発行され、以来、現在に至るまで、発行残高の増減はありましたが、毎年発行され続けてきました。 不思議なことに、この間、何度も景気のいい時があったにも関わらず(特にバブル景気で絶好調の時ですら)、赤字国債は色々と理由をこじつけては発行され続けてきたのです。 つまりこの国は景気が良かろうが悪かろうが赤字国債を垂れ流し続け、更に自分たちが作った借金を次の若い世代に押しつけようとしています(財政規律に関して担保割れを起こしています)。

2つ目の徴税能力については、確かに日本の税務当局は、世界最高水準の徴収能力を有していますが、肝心の税金を取る為の法律(立法:即ち国会)が、ご覧の通り、迷走に迷走をしています。 といいますか脳死状態で、ここ至って立法を含めた徴税能力に関しても担保割れを起こしています。

この状態をどうしようもない処まで先送りして立ち行かなくなった国がギリシャであり、それに続くポルトガルとスペインであり、そしてイタリアなのです(ヨーロッパでは、イタリアの事を「ヨーロッパの日本」と呼んでいます)。

読者の皆様、それでも担保割れの債券(国債)を買いますか?!

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One comment on “「国債の担保は何かね?!」
  1. ベルドン より
    担保

    国にも・・
    自然治癒力があるかな・・・?

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