2011/08/23 05:26 | 昨日の出来事から | コメント(1)
最近のヘッジ ファンド事情
今週号の英誌エコノミストに最近のヘッジ ファンド事情に関する記事がありましたので、ご紹介したいと思います。
これまで、大胆な収益目標を立てては投資家にそそのかせてきた(?!)ヘッジ ファンドは、2008年のリーマンショックで年率マイナス18%という致命的なダメージを受け、それ以来、ヘッジ ファンドのパフォーマンスは芳しくありません(とは言っても、彼らのベンチ マークである2008年のS&Pのパフォーマンスは、マイナス38%でした)。
また、今後の見通しもあまり明るくありません。 今月(2011年8月)の第1週のヨーロッパのソブリン危機やS&Pによるアメリカの長期債務信用レーティングを引き下げたことによって、瞬間的なボラティリティが過去最高の水準にまで上昇して、大きく毀損したファンドが続出し、中には瀕死状態になったファンドもあるようです。
多くのファンドは、ロング-ショート ファンド(割高な株式を売って、割安な株式を買う取引を中心としたファンド)であり、一般的には、マーケットが急落する局面では、優良な株(割高な株)は高止まりする傾向があり、その一方で人気のない株(割安な株)は、より大きく売られる傾向がある為、この両者間のスプレッドは広がり、結果として損失が拡大しました(平均的に15%程度毀損し、中には31%も損失が出たファンドもあるようです)。
それに加え、2008年以降の規制当局への報告やより厳しくなったコンプライアンス(法令順守)に費用がかさみ、小さなファンドはこれに耐えることが出来ず、解散に追いやられています(ジョージ ソロスの旗艦ファンドは、一般顧客の預かり金を返還し、自己ポジションだけの運用に特化したのは、これに大きく関係していると言われています)。
ヘッジ ファンド業界全体の89%のファンドのブック バリュー(評価価格)は、2006年の水準を下回ったままの塩漬け状態であり、中には2008年以降、凍結してしまったファンドも出ています(一般的に、ヘッジ ファンドは、毎年2%程度のマネージメント フィー(ファンド管理手数料)を取っている為に、なかなかプラスに出来ない状態が続いています)。
業界全体のファンド数は、2008年以来10%減少し、預かり残高も減らしましたが、その後は、回復して最近は2兆ドル(約160兆円)を越える水準まで回復してきています。 しかし あるヘッジ ファンドの幹部は「我々は、我々の顧客や友人には(儲けることを)約束するが、この業界の将来に対しては、魅力を感じない」と言っています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “最近のヘッジ ファンド事情”
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「この業界の将来に対しては、魅力を感じない」
そこに二兆ドル・・
パトロンは・・魅力を感じるか・・・