2011/08/19 05:43 | 昨日の出来事から | コメント(1)
AA+ is a new AAA
先日、こちらで経済学を教えている先生とお話する機会があり、そのお話の中で今回のS&Pによるアメリカの長期債務格付けが引き下げられた話に及び、先生は「今回のアメリカの格付けの引き下げの意味する処は、端的に言ってしまえば、AA+ is a new AAA」とおっしゃり、私は「なるほど!」と納得したのでした。
更に、先生は「今回の格下げのもう一つの意味合いは、現在の資本主義経済そのものの劣化を表した象徴的な出来事であり、今後も、この劣化は際限なく続く。 何故ならば、今の資本主義経済の仕組みでは、国家の借り入れ(あるいは国家に対する貸付)に対して、何ら制約する機能がない為だ」と指摘されました。
そういえば、BIS規制でも、それぞれの国の銀行が自国の国債を保有する事に対して、リスク ウエイトはゼロになっています。 この事が、銀行が際限なく自国の国債を保有するインセンティブになっており、資金を調達したい国としても、自国の銀行に国債を保有してもらう事は自らの国債の安定消化につながり、ここにモラルハザードが生じてしまっています。 民間の銀行と企業の間であれば、融通手形(国の場合は国債)を発行し、銀行はこれを割り引いて融資する(国債を保有して金利を得る)行為に近いといえます。
今週号の英誌エコノミストは、今回の連鎖的な金融危機を食い止める為には「ユーロ全体の財政を統合するといった大胆かつ根本的な改革が必要である」と指摘していますが、ただでさえ各国の利害が激しく対立する中、全ての国の財政赤字を統合するのは至難の業です(といいますか無理です!)。 それよりも、より現実的には、BIS規制の中に、銀行が自国国債を保有する際にもリスク ウエイトをつけて、国の野放図な借り入れを抑制させる機能を持たせるべきです。 しかし、今となっては、それも非現実的な話のようです。 何故ならば、銀行と国家のなれあい関係は、日本に限らず、ユーロもアメリカも同じだからからです。 しかも各国の中央銀行が先頭切って国債を保有している現状においては、、、、。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “AA+ is a new AAA”
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とすると・・
今のAAA・・
an old AAA・・
と呼ばれるのでしょうか・・??
それとも・・
Classic AAA・・・??