2011/08/02 05:51 | 昨日の出来事から | コメント(1)
「日本化」するユーロとアメリカ
今週号の英誌エコノミストは、「日本化する(ユーロとアメリカ)」と題した、あまりありがたくないタイトルの特集がありましたので、ご紹介したいと思います。
ご存じのように、ヨーロッパでは、ギリシャに対して、昨年の第一弾に続いて、7月中旬に救済策第2弾が発表されました。 また、アメリカでは一昨日に、債務上限(Debt Ceiling)引き上げに関する合意が期限ギリギリのところでなされ、世界の金融市場は胸をなでおろしました。
しかし、英誌エコノミストは、こうした事態に対して、「ヨーロッパもアメリカも現実を見ていない!」と厳しく指摘しています。 つまり、ヨーロッパに関しては、(1)ギリシャは既に破綻しているという事実、そして(2)ドイツをはじめ、支援をした国々は、自国の銀行支援を兼ねて更に今後もギリシャ支援が必要であるという事実です(何故ならばユーロ域内の多くの銀行はギリシャ国債を始め、財政危機に直面している南ヨーロッパの国々の国債を大量に保有している為)。
また、アメリカに関して言えば、これまでの何十回にも亘って、まるで年中行事のように財務上限(Debt Ceiling)の引き上げを行い、その都度、政府はThe Risk of Brinkmanship (瀬戸際リスク)に直面し、そのリスクは、今後、益々高まってくるという事実です。
言い換えれば、ヨーロッパでは、ギリシャを始め、南ヨーロッパの国々が、かつては割安な自国通貨であった故に成り立っていた経済が、ドイツやフランス並みの割高な通貨ユーロに加盟した故に、自国の貿易や労働力が国際競争力を失い、経常赤字が常態化してしまっている事に対する抜本的な問題に手をつけていません。
また、アメリカにおいても、米ドルが、今もって世界の基軸通貨であり、世界の国々から信認を得ているゆえに、いくら慢性的な貿易赤字や経常赤字が出ても、ドルを印刷すればいくらでも資金を調達できることに胡坐をかいてしまって、これらの赤字構造そのものに対する抜本的な問題に手をつけていません。
こうした不作為、あるいは「事なかれ主義」的に抜本的な問題に手をつけない政治姿勢は、その典型的な「お手本」である日本の姿に次第に近づきつつあるとしています。そして、その当の日本については、抜本的な問題に手をつけるチャンスが、これまで「umpteen: 数えきれないくらいあった」にもかかわらず、政治家が悉く(ことごとく)避けてきた結果、 日本は、今や、もう「hopeless :お手上げ状態」になりつつあるとしています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “「日本化」するユーロとアメリカ”
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相変わらず・・エコノミストの・・日本への妬みは・・業病に近い・・(笑)
編集者は・・
歴史書を読んだ事がないのだろう・・
政治の無策は・・
日本特有ではなく・・世界共通の現象・・
そして・・
昔から・・存在していた・・・