2011/07/22 05:48 | 昨日の出来事から | コメント(0)
豪の今後の景気見通しは?
最近、オーストラリアの経済見通しについて、これまでの強気一辺倒から、場合によっては景気がピークをつけて、今後はサイクル的に景気が下押しするのではないかとの見方が出ています。
この背景には、豪経済が、今年前半の経済成長率が2%に留まったことが挙げられます。 RBAの予想では、2011年は4.25%の経済成長率とし、また、IMFも豪の2011年の経済成長率を3%と予想していました。
予想を下回った主な理由としては、ご存じの様に2011年初のクイーンズランド州の大洪水、ハリケーン ヤシの影響で、鉱山部門や農業部門に大きなダメージを与えたことがありますが、実はそれだけではなく、去年以来のRBAの7回に亘る政策金利の引き上げ(1.75%)とそれに伴う豪ドル高の影響で、製造業や観光業にも影響を与え、豪経済が失速してきている事が挙げられます。
先週にWestpacは、彼らのそれまでの経済見通し(12月まで政策金利0.25%引き上げ)から、逆に0.25%の引き下げ、更には2012年末にかけて1%の政策金利の引き下げを予想し、市場にショックを与えました。また、昨日、nab (National Australia Bank)が発表した2011年4−6月期のビジネス サーベイではビジネスは横這い、雇用は弱含み、将来の受注も弱い数字となっています。
金融市場では、Swapマーケットでは、2011年12月までに0.25%の政策金利の引き下げを既に織り込み、更には、今後1年以内に更に0.25%の政策金利の引き下げを織り込む水準で取引されています。
また、TD証券のストラティジスト債Roland Randall氏は、「債券市場では、更なるアメリカもしくはヨーロッパの信用危機を織り込み始めている」と指摘し、「これまでの中国経済の成長に合わせて豪経済が成長する代わりに、アメリカやヨーロッパの金融危機をきっかけに豪経済が失速する可能性に関心が移っている」と指摘しています。
このように、ここに来て豪の金利先安観が非常に強く出ていますが、これにはやや警戒感が必要です。といいますのも、豪の金融市場の特徴として(オーストラリア人の特徴として)、いつも極端に振れる傾向があり、今回もやや金利先安観に一気に傾き過ぎているように思われるからです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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