2011/06/28 05:04 | 昨日の出来事から | コメント(1)
ユーロが暴落しないのはどうして?!
連日のようにギリシャの財政再建問題がニュースで取沙汰され、去年の5月以来、綱渡り状態のギリシャ情勢は一向に改善する気配を見せないばかりか、問題の先送りを繰り返し、将来の修復コストは益々増大する事が懸念される中、この支援に巻き込まれているEU連合の通貨「ユーロ」は、本来的には暴落してもいいはずなのに、今のところ不安定な値動きを繰り返しながらも値段は下支えされています。 その辺りのことについて、今週号の英誌エコノミストが特集を書いていましたのでご紹介したいと思います。
ユーロは、2010年の5月のギリシャ危機とユーロ危機が同時に絡んで発生した時には1€=1.20ドルまで売られましたが、今年に入ってECBが政策金利を引き上げた頃には1.50ドル近辺まで買われ、現在では1.40〜1.45ドルで神経質な取引がされています。
この水準は、今年初の水準から比べても8%程度高い水準であり、読者の皆様の中には、ユーロが予想以上に底堅いと感じている方も多いと思います。 その背景として考えられているのは、ギリシャの様な財政危機に直面している国々(ギリシャ、ポルトガル、アイルランド)がある一方で、EU全体としての経済は、今年第1四半期は0.8%増加(年率にして3.4%)しており、アメリカやイギリスのそれを上回っています。 特にユーロ盟主国ドイツのGDPは、プラス1.5%と好調です。
また、金融政策においても、ユーロは7月にも政策金利引き上げが予想され、物価上昇が賃金に転嫁させない事を鮮明に打ち出しているECBの金融政策が評価されている事も挙げられます。その一方で、アメリカの金融政策では、政策金利の引き上げどころか、今や財政赤字上限枠問題を巡って、政治的なテクニカル デフォルトの可能性すら出てきています。
更に、スタンダート チャータードのリサーチによれば、中国が、これまで米ドルを中心に積み上がっていた外貨準備高の分散を熱心に行っており、米ドルからユーロへの資金シフトが起きていると指摘しています。 これに対して、John Higgins of Capital Economics は、「こうした動き(中国の資金シフト)は、限定的なものである」とし、そうではなくて「ユーロは、目先的には去年のギリシャ危機がトラウマとなって売られることがあっても、もはや下値は限定的なものにとどまり、長期的にはユーロは堅調に推移する事が予想される」としています。
ここが絶好の買い場か? はたまた、ここが奈落の底への一丁目一番地か?
今日は、大局的なお話をしましたが、クロコダイル通信の読者の皆様におかれましては、かねてからの打ち合わせ通り、「着眼大局、着手小局」でお願いします!
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One comment on “ユーロが暴落しないのはどうして?!”
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何かを・・
お忘れじゃ・・ござんせんか・・?
ドイツを・・
石松同様・・忘れておりました・・
仏蘭西も・・
あちらの縄張りでござんすから・・そりゃ・・粘りに粘って・・我が国の宰相どころでは・・ござんせん・・
独仏同盟・・お強いでござんす・・英の方が・・危ないか・・・?!