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2010/06/25 04:21  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

オーストラリアに初の女性首相誕生


おはようございます。

ここオーストラリアでも政局が突然大きく動き、ケビン ラッド首相からジュリア ギラード副首相に首相交代されました。 背景には、最近のケビン ラッド首相の支持率が30%台前半まで急落し、一方で、野党党首であるトニー アボット氏の人気が肉薄する処まで伸び、これを見かねた労働党が、労働組合や右派の支持するジュリア ギラード氏を担ぎ、党首選挙を要求したところで、ケビン ラッド氏は首相辞任を決断したようです。 今後は数か月以内に新政権の国民に信を問う総選挙が行われる予定です(ここが大きく日本と違う処です! 国の首相が替わるという重要事案については、民間企業で言えば社長交代に相当し、臨時株主総会が行われるのですから、本来は、ステーク ホルダー(stake holder)である国民に信を問うのが筋です。今回の新政権は参議議員選挙で国民の信を問う事にはなりますが)。

もっとも、ケビン ラッド氏の人気急落の背景には、2007年の総選挙で公約にした(1)地球温暖化法案の先送り(これは世界的に動きで先送りされたので仕方がない部分があります)、(2)難民受け入れを約束しておきながら、ここに来て難民の受け入れを拒否(実際に政権を担当するに至り、理想と現実のギャップに難民受け入れを拒否せざるを得なかった)、(3)先住民(アボリジニ)に対する地位改善を約束しておきながら遅々として進まず不満が高まった(6月24日の「昨日の出来事」でご紹介しました)、そして、致命的なのは(4)オーストラリアの中核産業である鉱山業界に対して、最高40%の増税を超過利益に課す法案を打ち出したところで、豪産業界と労働組合から総スカンを喰らって万事窮すとなったようです。

これは、東方の日出国(ひいづるくに)のデ ジャブ (deja-vu:既視感)です。 出来もしない公約(特に外交などの相手のある話)を一方的に掲げ、理想と現実のギャップに公約を反故にした辺りは、全く同じです(日本だけでの現象ではなかったようです)。 そして、ここオーストラリアでも鬼門中の鬼門である“増税”に手を出したために、2年半という短い期間で政権が倒れました(日本は1年未満)。 今度の日本の新しい首相は、この鬼門中の鬼門に「政治生命をかける!」と豪語しましたが、その後の世論調査で、それまでの60%台から50%に急落した途端に、トーン ダウンしてしまいました。 

ちなみに、今度のジュリア ギラード新首相は、生まれはイギリスのウエールズ出身で、オーストラリアの市民権をもつ日本で言うところの「外国人移民」です(どこかの国ではこの「外国人移民」に過剰反応する人も結構いるようですが)。 豪メルボルン大学を出て弁護士を経て1998年連邦下院議員に初当選、その後、労働党副党首を経て2007年からケビン ラッド首相の下では副首相(教育相、兼雇用職場関係相兼務)。 ちなみに御主人(テレビではPartnerと呼ばれていました)は、ヘアーデザイナー関連の仕事で、過去の彼女の髪形も色々と変わっていて、今後も楽しみです。

実は、私はいろんな面でケビン ラッドのファンでした。 特に、今年に入ってブリスベン博物館に2007年の総選挙活動で使われた「ケビン ラッド移動オフィス」と書かれた彼の軽トラック(荷台には折り畳み椅子を満載)が寄贈されたのを見て「彼の発想はいいし、面白いなあ!だから政権を奪還出来たのだ!」と感心したのでした。 

今回の日本の参議議員選挙でも、「誰か、軽トラックに折り畳み椅子を満載して、行く先々で折り畳み椅子を広げて選挙民に座って話しを聞いてもらう選挙運動する候補者が出ないかなあ」と願っています(だって、選挙民を立たせて話を聞いてもらうのは失礼ではありませんか!?)
もう候補者の名前だけを、只管、連呼するだけの選挙運動も変える時期に来ています!

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One comment on “オーストラリアに初の女性首相誕生
  1. ぺルドン より
    初の・・

    移動オフィスも・・
    増税には敵わなかった・・まして40%!!
    『おっちゃん・・頭オカシイんじゃないか』
    ・・と言われる・・言われた・・

    税が・・
    いきなり・・倍等になったりすれば・・竹槍や筵旗・・
    どこでも・・いつでも・・

    国民は・・ウルトラセブンにも・・ハルクにも・・バットマン・・ゴジラ・・ガンダムにだって・・なれるのです・・

    恐ろしい程・・無知な首相は・・
    立ち上がって・・火を噴く・・ゴジラを見て・・後悔するでしょうね・・・

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