2010/06/23 05:38 | 昨日の出来事から | コメント(2)
金は最高値を更新し、一方で金利は低下?!
金融市場では、時として理屈では説明できない現象がしばしば起こります。 最近では、インフレを象徴する金が、最近の最高値1,250ドルをつける一方で、デフレを象徴する債券の金利が低下(価格は上昇)基調にあります。
伝統的には、金を保有することはインフレの進行に対して、資産(特に債券などの金融資産)の目減りから守るために買われます。 しかし、現在の10年物の米国債の利回りは3.3%近くまで低下し、歴史的に最も低い金利水準に迫る勢いです。 つまり、金融資産でも価値が増加し、本来、金融資産の目減りを守るためのヘッジとして買った金まで価値が上昇するというファンド マネージャーにとっては、この上ない心地よい時間帯なのです!
これは、どう説明されるべきなのでしょうか? 英経済雑誌エコノミストは、David Ranson of Wainwright Economicsが行った説明として「金の価格の上昇と、社債と国債のスプレッドが縮小することに相関関係がある」と述べています。 つまり、景気が良くなってくると、インフレ期待が高まって金が買われる傾向になり、また、債券市場では企業の業績が良くなるにつれ、社債のデフォルト懸念が低下する為、少しでも利回りの高い社債が買われ、結果として国債と社債のスプレッドが縮小する事を示しています(説明として弱い気がします)。
別の説明では、「投資家が2007年、2008年に金を買ったのは、金融機関に破綻リスクが高まって、金融機関に預金して金利を受け取るよりも、金を購入してデフォルトリスクを回避しようとしたからである」と紹介しています。 しかし、それでは、金が2008年当時の900ドル台から、現在の1250ドル台まで上昇している現在の状況の説明になりません(確かに安全性とか破綻リスクというのは、あくまでも相対的ですので、単純に2008年の水準と現在の金の価格を比べてもあまり意味のは分かりますが)。
結局のところ、どれもぴったりとくる説明はなく、英経済雑誌は Bank Credit AnalystのMartin Barners 氏の言葉を借りて「世界の金融政策は、低金利、量的緩和、大きな財政赤字によって、インフレ要因を抱えているものの、一方で、経済的ファンダメンタルズは、世界的に大きな需給ギャップとこれまた世界的な貸し渋りの為、デフレ要因が蔓延している。 こうした理論的には分裂状態に直面した投資家は、理屈上の耳障りな話を無視して、ただ、両方の資産をお互いにヘッジすると称して、次の暴落(collapse)が来るまで両方買っているに過ぎない」と説明しています(こうした状態が、どこまで続くかわからないが、永遠には続かない事を警告しています!)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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2 comments on “金は最高値を更新し、一方で金利は低下?!”
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総てを・・
論理的に・・把握したい欲望は・・頭脳が・・時たま夢見る・・幻想に・・過ぎないのです・・・
ハードトラブルの所為か・・コメント書く前に・・アポリニジが消えた・・ラッドも・・消えた・・
辞任演説を聴く・・おぉ涙・・また涙・・業績を縷々・・語り・・涙・・
何故・・そんな功績があり・・女性の腹心に負けたのか・・男より女・・セクハラ思想に・・負けたのか・・
アポリニジに初めて誤ったのは・・私・・もありました・・
解説者は鉱山税の所為だ・・
税と言えば・・
民主党の消費税突然・・消えましたね・・如何に・・統治能力が無い・・方々なのか・・
こちらも・・涙の会見を・・見れるか・・!?・・・