2009/12/03 06:45 | 昨日の出来事から | コメント(3)
豪、野党に転落した自由党の内紛から見えてくるもの
今、オーストラリアでは政治がちょっとした話題になっています。
これまでオーストラリアの保守本流だった中道右派の自由党が、2007年に野党に転落して以来、Malcolm Turnbull(マルコム タンブル)氏を野党のリーダーとして、現在、政権を握っている労働党を打倒すべく戦っていたのですが、今年に入って、野党は、ケビン ラッド首相が自分の知り合いの自動車ディーラーに個人的便宜を図ったとする偽メールを信用して国会で追及したところ、それが偽メールとわかり、これを追求したマルコム タンブル氏が失脚寸前に追い込まれました(どこかの国でも同じように野党の代表が偽メールを信用して失脚した話がありました)。
更にここに来て、12月にコペンハーゲンで開かれる二酸化炭素削減会議に関する論争で、マルコム氏の野党としてのリーダーシップに待ったがかかり、自由党の臨時党内選挙で42対41の僅か1票差でTony Abbott 氏に敗れて失脚したのでした。
これには、おまけ話があって、42対41の1票差は決選投票の結果であって、その前の予備選挙では、マルコム氏が自分の身内と頼んだJohn Hokkey氏に党首選に立候補されるという裏切りに合っています。
以上が、新聞報道による表向きの話ですが、内情はこれの何十倍もドロドロした話があるようです。ですが、本質的には、これまで長きに亘り保守の座を維持してきた自由党が2年前に野党に転落して以来、政権奪還を模索してきたにもかかわらず、現在の政権与党である労働党が2008年の世界的な金融危機をうまく乗り切り、国民からの支持率が高止まりして、いつまでたっても政権奪還の道筋が見えてこない事に対する不満や焦りが根底にあるようです。
一方で、現政権のケビン ラッド首相の戦略のうまさもあります。 首相就任直後に、前政権が長きに亘り行ってきた先住民アボリジニに対する差別や隔離政策を国会で謝罪し、更には、最近になって、これまた前政権が50年以上も前に行っていたオーストラリアやイギリスの貧しい家族や離散した家族の子供を政府が養育という名目で家族から切り離して専用の施設に収容したものの、実態は農場や工場で強制労働させていたこの国の暗い過去に対しても国会の場で謝罪したのでした。
現政権が、これまで長期に亘り政権を握っていた前政権の負の遺産を明らかにし、謝罪すればするほど、それまで与党であった自由党の立場はますます苦しくなる構図が見てとれます。
翻って、日本でも50年以上も政権を維持し続けて自民党の負の遺産がこれから明らかにされていくと思います(消えた年金問題、見て見ぬふりをしてきた肝炎患者問題、アメリカとの外交密約等など)。
こうした話が、バラバラ出てくるうちは、なかなか自民党の政権復活の道筋は見えてきそうにありません。 そうこうするうちに自民党でも今回のオーストラリアで起こった醜い内輪もめが起こるのでしょうか。
おっと、その辺にしておきましょう。「来年の話をすると鬼が笑う」という諺があるくらいですから。
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3 comments on “豪、野党に転落した自由党の内紛から見えてくるもの”
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今日の解説には,「ウッド」とか「ルッド」とか書かれていますが,現オーストラリア首相のファミリーネームは,「ラッド」なのではないでしょうか?
ファミリーネームは、Ruddでして、文章中の表示ををラッドに変更させていただきました。ご指摘ありがとうございました。
>>50年以上も前に行っていたオーストラリアやイギリスの貧しい家族や離散した家族の子供を政府が養育という名目で家族から切り離して専用の施設に収容したものの、実態は農場や工場で強制労働させていた・・
これはBBCがやってましたね。
当時のニュースフイルムや体験者のインタビュー・・
何処の話?・・とのけぞりましたが・・