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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2009/11/29 11:15  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

ドバイ ショック(パニック)からきた円高


おはようございます。

いきなりすみません。これは私の性格(あまのじゃく)の問題なのですが、世の中が「きゃあ、円高!」「うお〜!円高じゃ、円高じゃあ〜!!」と騒げば騒ぐほど、私は妙にシラけてしまい、今回の円高のコメントが遅れてしまいました。

今回の円高のきっかけは、ドバイの政府系企業の資金繰りが行き詰まり(約5兆円)、これに多額の融資をしていたヨーロッパ系の金融機関の焦げ付きを懸念してユーロが売られて円に逃避してきたということらしいのですが、そんな話を、ここまで円高になってから聞かされたところで「へえ〜、そうだったんだ」と後の祭り状態に近いものを感じずには居られません。 

さて、こうした危機がきっかけとなって起こる円高は一種のパニックなので、「どのくらい円高が続き、いくらまで円高が進むか?」という議論は、残念ながらあまり意味がありません。と言いますのも、こうした予測は、まるで火災(パニック)が起こったときに、どのくらいの火災になるのか予想するみたいなもので、ボヤですぐに消し止められるかも知れませんし、全焼してやっと消し止められるかもしれないからです。 最悪は全焼にとどまらず、周辺に延焼することもあります。延焼しだすと、それこそ、どこまで燃えるかを予想することは困難となります。 市場参加者がこうしたパニックの中で、不安と心配から今後の円高の行方を知りたがるのはよくわかるのですが、残念ながら、わからないのが正直な答えです。 

でも、こうした時でも、やれることはあります。日頃から、「円高になればこうしよう」と考えていたことを実行されるべきです。 輸入品のバックや時計を買うのもいいでしょうし、ドルやユーロに少しずつ両替して、今度の海外旅行に備えることもいい方法かもしれません。デイトレーダーの方は、これまで通りに自分の決めた売買ルールを確実に実行すればいいと思います(値幅が大きくてリスクが大きいようでしたら、投資する金額を絞り込んで)。

火事場のレポーターやヤジ馬に終わらず、火事に巻き込まれない範囲(万一、巻き込まれても丸焦げにならない範囲)で、自分の出来ること、やりたいことを確実にすることの方が大事ではないでしょうか。
 
今でも強く思い出されるのは、1998年にロシア国債がデフォルトされて、ロシア危機(パニック)が起こったときに、世界中がロシアを売り叩いている最中に静かに買い下がっていたのは、ロシアの国境にも近く、肌でロシアを知っていた経済大国ドイツの国民でした。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “ドバイ ショック(パニック)からきた円高
  1. ぺルドン より
    ドバ・・

    いいでござんせんか!

    ランプを擦らなくとも、膨れるのだから・・外貨が。

    ランプは何かのシンボルとフロイト派は言うでしょう。
    わが国は若いのです。

    でかくても、擦っても精が出てこないランプよりも・・・

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