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The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2019/11/22 05:41  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

どうしてドルがピークに見えるか?!

おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

だれも、自分のことを何も考えない楽観主義者と呼ばれたくない。よりリスクの高い投資は常に雲がかかっている(不透明である)。世界経済は数多くの危機に直面している。そうした中、ささやかな強気になることさえ愚かに思われがちである。

だから「最近のムードは良くなってきている」と小さな声で囁いても大きな声で叫ばない。10月以降、世界の株価は7%近く上昇し、債券の利回りは上昇した。そこには、安全資産から、あるいは経済が悪い時に保有される自己防衛的な資産から、より価格が上昇するリスク資産への資金シフトが起こっている。その前提としては、アメリカと中国の通商取引への期待と中国政府が先週人民元を対米ドルで7ドル以下に誘導した事がある。

こうした事が起こる度に、当然のことながら人々の考えは米ドル安に転じる。弱いドルは、明確に、そして幅広くリスク志向投資への推進力となる。しかし、将来的なドルの値動きは、それほど決定的なものになっていない。しかし、ドル安の為の条件は、次第に整い始めている。

その理由を考える為に、2014年以降のドル高の背景にあった力を考えてみたい。アメリカ経済は、過去の基準からみれば弱かったが、アメリカの消費者という非常に強いエンジンの恩恵を受けてきた。反対にユーロ圏では財政危機に苦しんで貯蓄を積み上げてきた。アジアでも発生した超過貯蓄は、共にその行き場を見つけ、世界の貯蓄者の資金はアメリカの高金利債券やIT株に向かった。資本流入がドル資産の価値を押し上げた。アメリカの純投資額(アメリカ国内の投資家による海外資産の投資-外国の投資家によるアメリカ資産の投資)は大幅な赤字になった。

今年は、産業界がスランプで貿易は振るわなかったが、悪いながらも、まだましに見える。しかし、ドルに対する目盛りはドルに対して下に傾きつつある。世界の製造業は底打ちしたかもしれない。JPモルガン チェースのグローバル経済チームによるPMI(purchasing managers’ index)指数は10月に入って今年3度目の上昇となった。生産の成長は、まだポジティブではないが、これまで株価の下落に沿って下がっていた新規注文の改善が景気サイクルに合わせて上昇に転じてきている。しかし、その改善は、今の処、弱々しい。労働集約産業では、まだ緩やかな伸びに留まっている為、GDPの成長を期待するのは時期尚早である。しかし、2020年に向けて、アメリアだけでなく他の地域でも経済成長期待が膨らんできている。

このことが、ドルに取って問題なのである。モルガン スタンレーのストラティジストHans Redeker氏は「世界経済の成長に合わせて、アメリカの割高なドル資産からより割安な資産へ扉が開かれる」と述べている。更に、今年に入ってからのFedによる政策金利の引き下げは、これまでの債券利回りの高さ故の米ドル下支え要因がなくなることを意味する。他の中央銀行もまた金融政策を一層緩和している。例えば、ECBは、9月に政策金利を引き下げるか、量的緩和政策を再び始めるかで議論が分かれた。

アメリカからの世界的な資金シフトは、エマージング市場にとって恩恵となるであろう。ドルの下落は、外国通貨の債務の保有を容易にする(借り入れが容易になる)。また、国内の借り入れも容易になり、経済成長に寄与する。投資家にとって、エマージング市場は、バリューがある(投資妙味がある)。株は安く、債券利回りは高い。2013~2016年、そして今年に入って下落した自国通貨の回復が視野に入って来る。

しかし、アルゼンチンや、チリや、トルコは、こうした事とは別で、今年に入って対米ドルで既に上昇している(それ以前に大きく売られていた為)。しかし、ユーロは、ドルの動きと同じ動きになっている、もしくは、その方向性を失っている(殆ど動かない)。そして何よりもユーロは執拗なまでに弱い。通貨としてのセンチメントは、域内で最大の経済大国であるドイツの低迷によって決められており、そのドイツは、9月時点で辛うじて景気後退(2四半期連続でマイナス成長)を免れている。しかし、そのユーロでさえ、少なくとも既に底打ちを見たように思われる。そして、もし世界経済が力強さを回復すれば、ユーロも最終的には上昇するだろう。

しかし、これは、あくまでもまだ仮定の話である。アメリカと中国の通商を巡る更なる紛争が起きれば、世界の製造業と設備投資が一層低迷し、ドル安の出鼻をくじくことになる。更に、別の政治的リスクもある。それはアメリカの民主主義にも関わる香港の民主化運動が大きく影を落としている。こうした動きが長引けば、世界経済は活力を失う。しかし、その際、通貨としてトップの地位にあるドルの地位も疲れを見せてくるだろう。人々は、既に囁き始めている。そのひそひそ話はやがて大きなものになっていくかもしれない。

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