2016/05/13 05:21 | 昨日の出来事から | コメント(1)
世界的に自殺者は増加傾向に?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
2016年4月22日にCDC(the Centre of Disease Control)が発表したレポートによれば、世界的に自殺者は増加傾向にあり、その中にあって、特にアメリカの自殺者の増加が際立ち、1999年から2014年にかけて10万人に対する自殺者の割合が24%も増加しています。 悲しいことに、男性の多くは銃で、また、女性の場合は服毒で自らの命を絶っています。
とはいっても、世界的には、10万に当たりの自殺者の数でいえば、ベルギー人やフランス人の自殺者の割合が最も高く(人口10万人当たり16~18人)、 それにドイツ人やスエーデン人が続いていました(同10~12人)。 アメリカ人の自殺者はこれらの国に比べて少ない状態が長く続きましたが、最近の増加に伴って、いまや、ドイツやスエーデン人の自殺者を上回っています(同14人)。
また、趨勢としては景気が悪くなると自殺者は増加傾向を辿ります。世界的には1986年から2000年にかけては自殺者の数は低下傾向を辿り、2000年に入ってからは底這い状態が続きましたが、2008年のリーマン ショック辺りから増加傾向に転じ、現在もその傾向が続いています。
その中で、アメリカはその増加率が著しく上昇し、スタンフォード大学の研究によれば、この期間の貧しい白人の寿命が低傾向を辿り、更に不景気下におけるアメリカの貧富の格差と疾病の関係についても指摘しています。
ただ、CDCは、こうした指摘を紹介しつつも、実際は、もっと他の要因が複雑に絡んでいるとしています。 と言いますのも、アメリカでは「自殺回廊」と呼ばれるアメリカ南部のモンタナ州からニュー メキシコ州にかけての一帯(砂漠地帯)と、ロッキー 山脈の西側であるネバダ州からコロラド州にかけて自殺者の割合が多いのです。
これには人口構成が深くかかわっており、(モンタナ州からニュー メキシコ州にかけての)砂漠地帯では白人アメリカ人と非ヒスパニック系の高齢者の自殺の割合が高く、(ネバダ州からコロラド州にかけての)ロッキー山脈西側では両方の割合が共に高くなっています。 特に、この地域はリタイアをして余生を過ごしている高齢者の割合が高く、その中にあって、75歳以上の男性の自殺者が多いのです。
私は、こうした嘆かわしいアメリカの現状に対する不満が共和党の大統領指名争いで保守本流ではないトランプ氏が勝利した要因の一つになっているのではないかと考えています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “世界的に自殺者は増加傾向に?!”
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グローバルゼーションの問題について、イギリスらしく全体を見てほしいですね。 そうしないと先進国の自殺問題も解決しないでしょう