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2015/09/25 05:43  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

改革が求められる豪の政治システム


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに先週にオーストラリアで行われた首相(党首)交代に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

私が2008年のオーストラリアに移住した当時は労働党が政権を握り、ケビン ラッド氏が首相を務めていましたが、その時の野党であった自由党の党首が、今回、首相になってマルコム ターンブル氏でした。

そして2010年の総選挙で労働党が選挙に勝って再び政権を取ると、野党であった自由党内では「マルコム ターンブル氏では選挙に勝てない」との批判が噴出し、トニー アボット氏が自由党党内選挙(内部抗争)に打って出て自由党党首につきました。

一方で、当時の与党であった労働党内でも、ケビン ラッド氏の人気が落ちてくるや労働党内で不満が高まり、当時の副首相であったジュリア ギラード氏が党内選挙(内部抗争)に打って出てケビン ラッド氏を首相の座から引きずり下ろしました。 しかし、その後はケビン ラッド氏が再び党内で勢いを取り戻して党内選挙(内部抗争)に打って出て、再び首相の座に帰り咲きました。 しかしこうした労働党で繰り返された内部抗争に、国民は完全に愛想を尽かしてしまいます。

その結果、2013年の総選挙では、既に国民から見放されていたケビン ラッド氏率いる労働党が、トニー アボット氏率いる自由党に大敗し、ここにトニー アボット首相が誕生したのでした。

しかし、トニー アボット氏の政治家としての評価は、まず彼がオーストラリアの保守本流であるキリスト教のアングリカン(イギリス国教)ではなくカソリック教徒であったこと、しかも、学生時代の彼は神学を専攻し(牧師を志していた)、法律や政治経済に弱かった為にかつての自由党首相であったジョン ハワード氏を指南役(メントール)としていた事から、一部では「マネキン首相」と揶揄されました。 更には、豪の保守本流が最も嫌っている同性愛者に対する結婚に対しても、彼は明確に「NO」を表明しませんでした。 

また、政治的には、彼が2013年当時の総選挙の公約にしていた地球温暖化抑制法案(カーボン タックス)を廃止した事で経済界からは歓迎され、国民は追加の税金を支払う必要がなくなったので同様にこれを歓迎しましたが、おかげで「世界で一人当たりの二酸化炭素排出量が最も多い国民」とのレッテルを張られてしまうことになります。

こうした事を背景にトニー アボット氏の人気は次第に下降線を辿り、来年に行われる2016年の総選挙では「とても勝てない」との批判が出て、今回の党内選挙(内部抗争)によってかつての自由党党首であったマルコム ターンブル氏が首相の座に就くことになったのでした。

このように繰り返される党内抗争によって首相がコロコロ変わるオーストラリアの政治状況に対し、英誌エコノミストは「オーストラリアの選挙制度そのものに問題がある」と指摘し、「現在のように3年毎に総選挙を行うと、ある程度の効果が出るまでに一定期間が必要である経済政策等が次の選挙までにその成果が間に合わず、結果として、選挙ではどうしても国民の人気のある党首を立て、目先的にすぐ成果の出る国民受けする公約を打ち出さざるを得ない」と述べています。 

その上で同誌は「今、オーストラリアに必要な事は、経済的には(非常に時間のかかる)鉱山関連産業依存体質からの脱却であり、政治的には、(既存の利害関係が大きく絡む)選挙制度改革である。 何故ならば、 現在の豪の選挙民の多くはいわゆる中間層であり、かつてのような自由党(企業家)と労働党(労働者)と言った2大政党の単純な政治の枠組みには、もう収まらなくなってきているからである」と述べています(それは何もオーストラリアに限ったことではありません)。

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One comment on “改革が求められる豪の政治システム
  1. パードゥン より
    選挙制度のせいにすると日本と同じ失敗

     政治がなすべき事をしないからであって、選挙制度のせいでは
    ありませんね。   日本でも制度をいじって、事態はかえって
    駄目になりましたから

     ほんと、英誌はどうしちゃったのか、駄目記事が増えましたね

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