2015/02/17 05:31 | 昨日の出来事から | コメント(2)
日本の格差
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
日本では、Thomas Pikettyの「The Capital in the Twenty-First Century」という本が700ページにもわたって書かれているにもかかわらず13万部も売れ、今月、ピケティ氏自身が東京まで来て、盛大に歓迎される中で講演をしました。
その中で、彼は、1991年に日本のバブルが崩壊した理由の一つに、日本の金持がアメリカや他のヨーロッパの金持に比べて蓄積がより少なかったことを挙げている。 というのも、日本の上位10%の金持が全体に占める富の割合(Egalitarian spot)は、主要国46か国の内、僅かにベルギーを上回っているにすぎない(46か国中45位)(えっ?!日本の金持がもっと蓄積をしていればバブルは崩壊しなかった??)。
世界的に格差が拡大する傾向にある中、日本の金持ちの割合は安定的に推移し、トップ1%の金持が保有する富の全体に占める割合(除くキャピタル ゲイン)は、2008年には9.5%しかなく、2012年には9%とむしろ下落している。
しかし、その一方で、日本では別のタイプの不均衡が拡大している。 それは、いわゆる超大金持ちとそれ以外の格差ではなく、終身雇用の下で特権を持つ幹部社員とそうではない不安定な仕事に従事している労働者の格差である。 例えば終身雇用の労働者の平均年収は500万円であるのに対して、そうでない労働者(非正規雇用労働者や中小企業の労働者)の平均的な年収は200万円しかない(つまり、日本の格差問題はピケティの本の中に書いてある格差問題とは別のところにある)。
また、彼は講演の中で、現在のアベノミクスは将来的に資産価格の上昇を伴って「持てる者」と「持たざる者」の格差が拡大する可能性があると指摘している(アベノミクスによって強引にインフレを起こそうとしているのだから当たり前)。
こうした講演の内容を紹介した後、最後に英誌エコノミストは「皮肉にも、今、安倍政権は、大企業をいじめて大企業労働者の賃金を引き上げさせようとしている」と懸念を表明しています(ますます労働者間格差を拡大させようとしている)。
私は、今回のピケティ氏の的外れの講演内容を読んでいて、以前、ラリー サマーズ前財務長官が「どの国であれ、その国の経済を(見かけではなく)本当に成長させ、かつ格差をなくすためには、30~40歳代の中間層の所得を拡大させることが一番大切である」と言っていたことを思い出しました。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
現在有料版にはお申し込みいただけませんのでご了承ください。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
2 comments on “日本の格差”
ペルドン にコメントする コメントをキャンセル
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
>>日本の金持がもっと蓄積をしていればバブルは崩壊しなかった??。
ならば・・
円・・もつと・・もっと・・もっと・・高かったなら・・・(笑
”超大金持ちとそれ以外の格差”が問題に決まってます。
一旦、こうなってしまうとシモン委員会も学識経験者も
太鼓もちで、ピケティ氏もその一人でしょうが、庶民の
”内部分裂をはかり”、抜本的な改革と称して利益を外資や
新興財閥へもっていこうとします。
ペケティもオバマも言っている事はいいが、やれと
言われたとおりすると庶民は悲惨なことになる。
既に、保護されているので終身雇用者に残業代
はらわんとか。 経営者は残業代なしでも
働くのはわかるが、1000万くらいで頭打ちは悲惨