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2014/10/21 14:54  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

今年のノーベル経済学賞


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに今年のノーベル経済学賞を受賞したフランスのJean Tirole氏に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

今回、Jean Tirole氏がノーベル経済学賞を受賞した内容は、市場競争とこれを規制する当局に関する研究で、「当局によって規制された(独占もしくはそれに近い)企業は、それを規制した当局よりもビジネスを知っており、必ずしも規制はうまく機能しない」というものです(尚、この研究は、正しくはJean Tirole氏とJean-Jacques Laffont氏の共同研究ですが、Jean-Jacques Laffont氏が2004年に死去した為、今回のノーベル経済学賞の受賞はJean Tirole氏単独となっています)。

具体的に彼らが行った研究は、
(1)1980年代に世界的に通信や鉄道等の国有化されていた企業が次々と民営化された時、こうした巨大企業が、それぞれの業界に参入してきたことで完全競争を阻害してきた。 たとえば、巨大企業とそれに対抗しようとする企業が設備投資を行っても、巨大企業がより多くの投資を行うことによって、2番目の企業の設備投資の回収をより困難にさせる。 また、巨大企業と2番目の企業との価格競争(この場合は値下げ競争)においても巨大企業は有利立つことが多い。

(2) また、それとは別に、民営化された巨大企業が利益拡大を狙って消費者に対する利用価格の引き上げようとした時、それを阻止するために規制当局が利用価格の上限を設定することがあるが、こうした動きは、表向きには利用者を守っているように見えるが、実は、こうした利用価格の上限を杓子定規的に規制すると、巨大企業は上限のかかった価格に対する設備投資を嫌がり、結果として利用者により効率のいいサービスを提供しなくなる。 こうした事に対する答えとしては「規制当局者は、巨大企業を一方的に規制するのはなく、一定の選択肢を与え、巨大企業にとって最もいい選択をさせることが、最終的には利用者にとっても効用を極大化することができる。

(3)更に、(2)と関連して、企業にとっても利用者にとっても一番いい選択肢を取れば価格引き下げにつながるかと言えば、必ずしもそうではない。 たとえば、規制当局者は、単純に巨大企業に対してコスト削減を迫りさえすれば、彼らはコスト削減のための投資をすると考えがちであるが、実際には、巨大企業は、そのようなコスト引き下げのための投資をしても、後になって更なるコスト引き下げを迫られるだけなので、そのようなコスト削減のための投資は全くしないのである。

(4) 今後、最も望ましい市場のあり方としては、「プラット フォーム:plat form」市場と言って、多くのタイプの顧客が同時に存在する市場が望ましい。 たとえば、新聞業界についていえば、新聞社にとって顧客は、新聞を読む人と、新聞に広告を出す企業の2つのタイプしかない。 こうした限られた顧客にサービスを提供する場合には、その価格設定(新聞価格)は非常に膠着的になりがちである。 その一方で、アマゾンやグーグルでは、非常に多くのタイプの顧客に対するサービスを同時並行的に提供しているので、それぞれの分野でお互いに価格競争が起こり、より適正な価格形成がなされる。

このネット中立性(net neutrality)に関する議論では、Jean Tirole氏は、
(あ)より多くの様々な消費者からのアクセスを維持するために、そのネット ワークのサーバーやそのプラット フォームを維持する為の高いコストは、その価格に転嫁されるべきである。
(い)その一方で、こうしたネット プラット フォーム提供者の価格設定プロセスは非常に曖昧であり、また、一部の顧客(あるは参加者)に不利益を与えたりしたり、不正を行ってもこれを見極めることは非常に難しい。
(う)残念ながら、こうした事に対して、規制当局者は、今のところ単純明快に規制する定形(パターン)を持ち合わせていない。

最後に英誌エコノミストは、「市場競争、特に政治的な要素の強い産業の価格競争を管理するのは非常に難しい。 今回のJean Tirole氏の研究は、こうした分野を新たに行っただけでなく、避けては通れない政治的なガイドラインについても研究がなされている」としています。

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One comment on “今年のノーベル経済学賞
  1. ペルドン より
    解決策・?

    政府規制・・
    真剣に考えるなら・・
    対象企業から・・専門家・・高額報酬スカウト・・以外ない・・となる・・

    それだけ・・
    サラリー出せるだろうか・?

    愛国心・?
    多国籍企業相手では・・無理がある・・
    国内企業相手・・すぐ・・海外に出たがる・・・(笑)

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