2014/06/10 14:37 | 昨日の出来事から | コメント(2)
債務に苦しむ韓国の家計部門
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
韓国のかつての急速な経済成長は、通貨安による積極的な輸出政策と、その一方で、国内においては、家計部門を中心に債務(借金)を急増させる形で成しえました。 特に家計部門の借り入れは、昨年には1兆ウォンを越え、平均的な家計収入に対する借入の比率は1.6倍と、OECD加盟国の平均である1.3倍を大きく越えています。 しかも、2008年に世界同時金融危機が起きた時、先進各国が債務を減らす中、韓国だけは債務を増やし続けてきたのです。
これに対して、政府は2012年に、金融機関に対して貸し出し抑制政策を取り、それまでは預金に対する貸出の比率が97%だった韓国の銀行は、これによって同比率を80%程度まで下げました。 また、同時に政府は、それまでノンバンクが行っていた最高貸し出し金利39%を35%に引き下げませました(かつての日本のサラ金も顔負けの高い貸し出し金利!)。
更に、2013年には、韓国政府は、Natinal Happiness Fund: NHF:(国民幸福基金)を設立し、多重債務者の債務の50%カットと返済期間を10年まで延長し、加えて支払金利を半分に減免する救済措置を取りました(その対象者249,000人で金額にして18兆ウォン)。
しかし、これは、主に所得の低い個人の多重債務を救済する措置であって、所謂、一般的な中間層の住宅ローンなどの借り入れは対象になっておらず、今では、この中間層の借入比率は、毎月の平均的な可処分所得の半分を占め、その借り入れのほとんどが景気の影響を受けやすい変動金利である為に彼らの家計を非常に圧迫しています。 そこで、韓国の中間層は、こうした借金を少しでも減らすために貯蓄を取り崩し、その貯蓄率は1988年の19%から2012年の4%まで急落してしまい、その水準の低さは、OECDの中で最低です。
英誌エコノミストは、「韓国は、目先の債務問題だけでなく、それまで以前から長きに亘って続いてきた借金体質そのものにも取り組む必要がある」としています。
かつて、日本のマスコミは、「日本も韓国の経済成長を大いに見習え!」と囃し立てていた時期がありましたが、 今にして思えば、彼ら(日本のマスコミ)は「韓国の経済成長の、一体、どこを見習え!」と言いたかったのだろう。 それとも、今度は、大衆の不安心理を煽るような韓国金融危機のシナリオを作っては、また売上部数の上積みでも企んでいるのだろうか。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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2 comments on “債務に苦しむ韓国の家計部門”
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まず・・
「か」・・
抜き・・
次に・・「だろう」
消す・・
最近・・
前橋さん・・上品になったのでは・・・?(笑)
国の債務を増やしながら社会や暮らしを安定させてきた、買いオペで債務を減らす、技術革新と開発及び企業間競争で物価は安定かデフレ、こんなにもうまく経済が回って行くとは思ってもいなかった。