2014/01/24 15:23 | 昨日の出来事から | コメント(6)
デフレの淵に立つユーロ
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
今年に入って、1月7日に財政再建中のアイルランド政府が3.75bnユーロ(日本円で約5,300億円)の10年債を発行しましたが、最近の世界景気の回復を背景に投資家が積極的に買い入れを希望し、入札倍率は4倍と好調な結果となりました。 また、その2日後のポルトガルの国債入札においても投資家は積極的な買い入れ姿勢を見せています。
このように、今、ユーロ圏内では、かつてのような財政破綻危機による信用不安は遠のきつつありますが、「果たして、本当に今後のユーロは大丈夫なのか?」と英誌エコノミストは疑問を投げかけています。
と言いますのも、域内の失業率は、一頃のような上昇傾向に歯止めはかかりましたが、それでも水準そのものは12.1%と1998年以来の高い水準に留まったままです。 また、成長率も2013年第4四半期は僅かに+0.2%に留まる見込みです(ちなみに2013年第2四半期の実績は+0.3%で、同第3四半期は+0.1%でした)。
更に、域内の2013年1月~12月の消費者物価指数(インフレ率)は+0.8%と低い水で推移し、コアのインフレ率(除く食料品やエネルギー価格)では、+0.7%と1999年のユーロ発足以来の低い水準に留まり、ECBが中期的な目標とする2%の消費者物価上昇とはかけ離れて低くなっています。
このように、ユーロの現状はこれまで以上にデフレのリスクに晒されています。 ご存じのように、デフレになると、企業や公的機関(国や地方)の債務が実質的に上昇し(負担が増加し)、財政危機に直面している南ヨーロッパの周辺国の財政負担が更に増加します。
こうした状況に対して、ECBは2013年11月の政策金利を0.25%に引き下げましたが、2014年1月9日の理事会では政策金利の変更(政策金利の引き下げ)をしませんでした。
英誌エコノミストは「今後、インフレ率が更に低下する局面では、ECBはマイナスの政策金利導入などのこれまでにないより踏み込んだ金融政策を実施すべきである」と指摘しています。
私たちは、英誌エコノミストが指摘するまでもなく、 過去20年に亘る日本のデフレ期において「デフレ通貨は他通貨対比買われ(円高になり)、それが更に景気の足を引っ張るデフレスパイラルに陥れ、 ひとたびこのスパイラルに陥ればこれを断ち切ることは容易ではない」 ことを身を以て経験していますので容易に理解出来ます。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
現在有料版にはお申し込みいただけませんのでご了承ください。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
6 comments on “デフレの淵に立つユーロ”
海王 にコメントする コメントをキャンセル
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
厚化粧すれば・・
まだ・・
お声・・かかるのでは・・・?(笑)
講演の後に飲み会でも計画して、豪投資の種とか教えてくださいませんか?
豪は、翡翠は算出しないのですか? 中国人は大好きですよ。
鉄鉱石やボーキサイトより、価値ある輸出品ですよ。
景気が悪いのに何故、通貨が高くなんのか昨年夏まで不思議
でしたが、日本もそうでしたが、お金というのはインフレでないところに
集まる事がよくわかりました。デフレで通貨高。自動車産業だけいいというのも
似ていますね。政策金利では無く、実質金利!?
いつもお世話になります。
ノーギャラ、手弁当、交通費なしの私には、例年のことですが、2月の講演はお呼びがかかりません(笑)。
それは、さておき、パードゥン様からご質問をいただいている「オーストラリアでの儲け話」の件ですが。正直、これは非常に難しいです。 私もあれば是非やりたいですし、あれば、当然、ご紹介します。
先日、2年前のギリシャ危機や、キプロスの銀行破たんに嫌気して、自分の預金をユーロ通貨からビッド コインにシフトして100倍儲けた人の話がテレビに出ていました。 こうしたお話しをすることができればいいのですが、私自身、ビッド コインへの投資も検討しましたが、実際の行動には移せませんでした(反省)。
今後は、もっと様々なことに気を配って投資機会(投機機会)を見逃さないよう心掛けます。
よろしくお願いします。
前橋
いつもお世話になります。
そうですね、ここでの議論は政策金利ではなく、実質金利の議論ですね。
ご指摘、ありがとうございました。
前橋
渋い・!
だが・・
良い点もある・・
搾取される立場・・
講演の度に・・認識・・出来る訳だ・・・(笑)