2013/07/30 15:18 | 昨日の出来事から | コメント(2)
英誌エコノミストがみた参議院選挙結果
先週号の英誌エコノミストに去る7月21日に行われた参議院選挙の結果に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
結果は、読者の皆様もご存じのように自民党、公明党の連立与党が、参議院の各委員会の議長を確保できる70以上の議席を獲得する圧勝となりました。 これによって、これまでのねじれ国会による法案の滞りはなくなり、連立与党の提出する法案は、理屈上は全て可決することが出来るようになりました。
英誌エコノミストは、今回の記事の最初から最後まで、2007年の第1次安倍内閣の焼き写しに過ぎない第2安倍内閣が「どうしここまで支持率が高いのか」と疑問を呈しています。 唯一、第2安倍内閣では3本の矢(大型の財政出動、異次元の金融緩和、成長戦略の為の構造改革)を打ち出していますが、当の本人が担当する成長戦略の構造改革は非常に覚束ないものに留まっています(正直、何も決まっていないのです)。
また、英誌エコノミストは、安倍内閣は憲法改正を画策しているが、国民の英知によって国会議員の3分の2の議席(参議院では92席)を確保できなかったのは、そうした思惑に対して「ノー」としている国民が多かった証拠だとしています。
もし、安倍内閣が、参議院でも3分の2の議席を確保したいのならば、 まず、本来は自民党の支持者であった田舎の農家(rural farmer)及び、漁業従事者にもアベノミクスの恩恵を与える必要がありますとしています。 ところが、現在の彼らの置かれている立場は、田舎の農家にとってはTPP交渉の行方におののき、漁師にとっては重油等の輸入価格が高騰した為に漁に出ても赤字状態で、アベノミクスは彼らにとって寧ろ弊害なのです。
また、多くの若者が非正規雇用に流れる中、 安倍政権は更なる労働改革(雇用の自由化)を推進しようとしています。 これも彼らにとっては不安要因を増幅させるだけのものであり、アベノミクスの恩恵はありません。
そして、3つ目は、(これはアベノミクスそのものとは直接関係ありませんが)原発再開に関する国民の考えが大きく2分していることを挙げています。 今回の選挙結果を見る限りでは、原発再開反対を主張する候補者が都心部を中心に当選し(東京では5議席中2議席)、その一方で、原発のある地方の1人区では(原発再開を指示する)自民党議員が選出されています(ある意味で皮肉なことです)。
最後に英誌エコノミストは、「もし、アベノミクスが公約通りにいかなかった場合には、次の国民の審判は2007年の参議院選挙の大敗に勝るとも劣らぬ厳しいものになるであろう」としています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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2 comments on “英誌エコノミストがみた参議院選挙結果”
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先送りにしてきた問題が山積みです、これからは乾坤一擲の大勝負の連続です、消費税を上げれば為替はどうなるのか、TPPや原発や財政債務で政界はどうなるのか、しかし安倍麻生は官僚とアメリカ政府のメッセンジャーボーイになるしかない、民主党は反官僚、「アメリカの言いなりにはならない」と言って潰されてしまったんだから仕方ない、政治家なんて消耗品のお飾りでしかないんでしょう、今の官僚制が失敗したらすぐに憲法改正してもらい大統領制に是正してもらわないと困ります。
分析・・
違和感ない・!
イギリス人特有の皮肉・・ないのは・・
王子誕生の所為だろう・・・(笑)