2012/09/28 06:46 | 昨日の出来事から | コメント(1)
尖閣諸島の「施政権」は認めるが「領有権」を認めたわけではない?!
今週号の英誌エコノミストに「アジアは本当にこれらの島(尖閣諸島)で戦争しうるか?」題した記事があり、同誌は、その中で、この問題解決に向けて3つのセイフティ ガードを列挙すると同時に、何よりも「協調と抑止」が必要であるとしています。
一つ目のセイフティ ガードは、「今回の紛争が、今後、(戦争などの)不幸な事態にエスカレートしない(させない)ための安全策の構築」が必要であるとしています。 その為には、まず、「領海内で船の衝突などの事件が起きた時に、政府間で速やかに事態を解決する仕組みを作ることが最低限必要です(何故ならば、このままでは近い将来にそのような緊急事態が発生する可能性が高い為)。
二つ目は、この問題について「いかなる偏見もなしにこれらの島の領有権問題を棚上げする方法をもう一度見出す必要がある」としています(英誌エコノミストとしては、今回の日本の尖閣諸島国有化に伴う領有権の主張は「やり過ぎ」との立場のようです。理由は後述)。 何故ならば、中国としては、尖閣の領有権問題は、次世代の人々が決める問題として先送りして事態の打開を図りたいとし、もし、この領有権問題が棚上げされれば、両国は再び協調関係を取り戻すことが出来る可能性があるからです。
そうはいっても、(相手が中国ですので)協調だけですべてがうまく行くとは限らないので、3つ目のセイフティ ガードとして、第3者による(2国間紛争の)抑止が必要であり、その役割を担っているのがアメリカであると指摘しています。
しかし、その肝心要のアメリカは、日本への沖縄返還の際に、日本の尖閣諸島に対する「施政権:administration」を認めて日米同盟の適用範囲であるとしていますが、その一方で、尖閣諸島の「領有権:sovereignty」までも認めたわけではないといった曖昧な立場をとっています。この背景には、1972年に沖縄が日本に返還される際に、尖閣諸島の扱いを巡って当時の中国と台湾から相当の反対があった為に、そのような曖昧な対応を取らざるを得なかった背景があったようです。
それにしても、世界の紛争地の歴史を振り返ってみますと、このような欧米式のある種の2枚舌政策によって、どれほどの多くの国とその国民が多大な犠牲を払わされてきたかがよくわかります。 例えば、中東のイスラエル建国をめぐるイギリスの2枚舌政策しかり(第2次世界大戦後のユダヤ人国家成立問題について、ユダヤ人に対する約束とアラブ人に対する約束の内容が違う「バルフォア宣言」)、そして、今回のアメリカの尖閣諸島を巡って「施政権は認めるが領有権を認めたわけではない」とする曖昧な姿勢しかりです。
日本の立場は、沖縄返還条約云々に関わらず、古来、尖閣諸島は日本固有の領土であるとの立場ですが、先ほど英誌エコノミストが2番目のセイフティ ネット構築の中で、今回の日本の尖閣諸島国有化に伴って領有権を主張するのは「やり過ぎ」とする根拠は、1972年の沖縄返還条約締結の際、アメリカが「施政権は認めるが領有権を認めたわけではない」とする曖昧な立場をとらざるを得なかった事に、そこには何らかの領土問題があったことを示唆しているとの判断があるからです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “尖閣諸島の「施政権」は認めるが「領有権」を認めたわけではない?!”
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ネゴシエーションの強い某国にあやかって。
再度、某国国債を売っても良いぞ?
と、言ってやっても良いと思うんだけど。(事務レベルでw)