2013/11/19 14:53 | 昨日の出来事から | コメント(1)
不確実性と投資の関係
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
一般的に、投資判断は、戦争、原油価格、あるいは政治等の不確実性に大きく影響されます。と言いますのも企業はこうした要因を自分でコントロールできないからです。 今、世界の先進国の多くの企業は、彼らの手元資金をため込むばかりで他に投資をしないのもこうした不確実性と大きく関係がありそうです(手元資金をため込んでいるのは何も日本の企業ばかりではありません)。
一般的には、不確実性は投資行動を鈍らせますが、その一方で、不確実性が逆に投資を駆り立てることもあります。 では、どうした時に投資をするかと言えば、ある一定の投資環境にあって、たとえその時点で不確実性があったとしても、その投資(コスト)に見合う利益を見込める時にはその投資は正当化されます。
では、具体的に、不確実性と投資の関係についてどういった研究がなれたかというと、一つめには2007年に発表された論文に、1972年から1991年にかけてイギリスの企業672社に行ったアンケート結果と株価の関係を調べたところ、過去の不確実性は現在の不確実性と結びつけて予測する傾向がありことが分かりまし。 しかし、 その一方で、ヒストリカル ボラティリティ(過去の値ブレの大きさ)は、現在の投資判断とは全く影響されないことが分かりました。
次に、2011年に発表された別の研究では、1996年から2011年にかけてアメリカの3,965社を対象に行ったアンケート データとオプション価格の関係を調べたものがあります。 オプション価格とは、トレーダーが、不確実性を勘案したその企業の将来の価格を値段に反映したものであり、これは実際の企業が考える不確実性よりも大きくなる傾向があります。 しかし、一方で、このボラティリティは、企業の投資判断によっても影響され、必ずしもボラティリティが企業の不確実性を反映してないのです(複雑かつ悩ましい関係)。 更には、これらのボラティリティは、原油価格の変動や、為替変動などのマクロ的な要因にも大きく影響されます。
これらの試行錯誤を経て分かったことは、「明日に対する疑問(不確実性)は、今日起こっていることに大きく影響を与える」という事であり、しかも、不確実性が10%ずつ上昇すれば、投資は1%ずつ減少する関係があることが分かりました。 例えば、2008年から2009年にかけて、 インポライド ボラティリティが40%上昇した時に、不確実性を理由に減少した投資の割合は4%であったことを意味しています。
さて、こうした不確実性からくる企業の投資の減少を、これまでは政府が景気刺激策を講じ、あるいはG7ミーティングのコミットメントによって、こうした不確実性の除去に努めてきたが、今度はその政府そのものが、将来の不確実性を高めている事態に陥っています。 例えば、南ヨーロッパの財政破綻危機しかり、アメリカの財政上限法案をめぐる瀬戸際交渉などがそれであり、まさに自らに課した不確実性(自業自得の不確実性)と言えます。
英誌エコノミストは、最後に「もし、こうした政府の財政に関する道筋をもう少しはっきりさせることが出来たなら、不確実性が減少して投資を大きく刺激し、そのことが財政を改善させるであろう。 財務を減らすためにも疑い(不確実性)を一刻も早く明確にすべきである。」としています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “不確実性と投資の関係”
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巧妙な・・
英政府・・擁護記事・・
しかし・・
新鮮味ない・・
洗いたてのジーパン・・・(笑)