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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2017/02/24 05:17  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

世界貿易は回復基調に?!


おはようございます。

今週号英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

昨年11月にトランプ政権誕生を受けて、保護貿易主義台頭によって世界的な貿易が減少すると予想されたが、今年に入ってからは寧ろそれまでの低迷した貿易が回復基調にある。

例えば、中国の輸出は今年に入って過去10か月で最も高い伸びを示し、韓国の輸出も3か月振りの高い水準となっている。 また、こうした現象は、日本、シンガポール、台湾でも同様の事が言える。これだけで世界的な景気回復を決定づけるものではないが、足元の輸出の増大は世界的な需要の拡大に裏付けされたものである。

IMFも今年の世界経済の成長率を若干上昇修正している。このことが投資家を強気にさせており、今週に入って世界主要46か国の株式インデックスMSCIグローバル インデックスは高値を更新した。 また、各国の構造改革が進展した事も回復の要因の一つである。 ここ数年は世界的な貿易の低迷を受けて、中国は過剰供給を抑制する政策を取り、自国内で最終財を生産するようになり、他国との貿易摩擦を減らすことにつながった。

更には、世界的な原油や金属などの鉱山商品価格の上昇によってインドネシアやマレーシアの輸出が増加している。しかし、これはあくまでも金額ベースであって数量ベースでは引き続き低迷している。 アジアのハイテク機器を扱う国では、消費者の趣向が変わる時期(買い替えの時期)で輸出が回復してきている。ただ、買い替え需要が予想以上に弱いようであるならば、こうした輸出の回復も失速しかねない。

こうした状況にあって、今度のトランプ政権の動向が影を落としている。選挙中に、中国を通貨操作国と名指して批判し、中国の製品に関税をかけると脅したが、政権発足後はそこまで行動を起こしていない。貿易戦争は、いつの時代にあっても歓迎すべきものではない。 せっかく世界経済はこれまでの低迷から解放されようとしている時に、貿易戦争が起これば、(トランプ氏の輸入品に関税をかける)冗談は冗談ではなく、非常に深刻なものになるであろう。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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