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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2017/01/05 05:26  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

2017年、何がビッグ サプライズになりうるか?!


おはようございます。

最新号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

もし2016年がショックの年だったとすれば、次の12か月は何が来るだろうか?
毎年、恒例のことであるが、この時期になると今年は何が起きるかを予測する時がやってきた。

定義としては、「驚き」とは、コンセンサスとして予想できない「何か」を意味する。Bank Of America Merrill Lynchがファンド マネージャーに行っている定期的なサーベイでは、多くの人々が何を考えているかを示している。ドナルド トランプ氏が次期大統領に選ばれたことで、投資家は景気が上向き、インフレが上昇し、企業収益も上向くと考えている。彼らは、大量に株式に投資をし、債券投資の割合を通常のレベルよりも引き下げている。

よって、最初の「驚き」を予想する事はさほど難しくはない。 トランプ氏の財政政策の対する効果が極端に高すぎる。しかしそのような政策を実施するにはある程度の時間がかかる。また、議会によって、特に公共投資について、これらの政策がお流れになる可能性がある。また、アメリカの低い生産性の下、アメリカ経済が、新政権が期待するような3~4%の成長率を達成するのは非常に困難である。日本においては、財政や金融政策は、景気の刺激策とはならなかった。

2016年は低下していたアメリカの企業収益は、ここにきてリバウンドしてきた。特に、もし新政権が法人税の引き下げを行えば、より鮮明となる。しかし、現在の景気循環勘案後のPER(Price-earning ratio)は28.3ポイントであり、過去の平均値を70%も上回った水準で取引されている。

一方で、FRBは、今年に3回の政策金利の引き上げを行うつもりでいる。これによって為替市場において米ドルは上昇し、アメリカ製造業の海外におけるドル換算の収益は減少する。よって「驚き」は、2017年のウオール ストリート(アメリカ株)は、いい年ではないかもしれない。

これに付随して、2番目の「驚き」は、アメリカ国債のパフォーマンスが、予想したほど悪くないかもしれない。現在の10年国債の水準は、過去のレンジである1.5%~3%の上限にきている。 民間の借り入れコスト(社債やモーゲージ)も10年国債に沿って上昇してきた。借り入れコストの上昇は、経済活動を阻害する効果がある。結果として、弱い景気指標が発表されることによって、それまでの債券利回りの急激な上昇が自律反転して、利回りが低下すかもしれない。

3つ目の潜在的な「驚き」としては、鳴かず飛ばずの年になるかもそれない。 BAMLのサーベイの中で、ファンド マネージャーが最も心配しているのは、EUが崩壊する事である。結果として、彼らはEU域内の株式の割合を引き下げている。しかし、ひょっとするとEUは今年無事に乗り切ることが出来るかもしれない。即ち、フランスの大統領選挙で、ルペン氏が敗れ、ドイツのアンジェラ メルケル首相が再選されるかもしれない。 ポピュリズム(人気取り主義)が、最近のオーストリアの大統領選挙で見られたように、必ずしも勝利するとは限らない(オーストリアの大統領選挙では、ポピュリズムの候補が敗れた)。また、OECDによれば、2017年のヨーロッパの成長率を1.6%と見込んでいる(ユーロ安でドイツ経済が絶好調のため)。ヨーロッパ大陸は、実は、天国の大陸になる可能性がある。

2017年のもう一つの潜在的な「驚き」としては、巨大市場の混乱が挙げられる。こうした混乱は過去にも何度か見られたが、突然、債券の利回りが急上昇し、あるいは、銀行やトレーディングにおいて特別な価格をつけたことがきっかけとなって、コンピューターが一斉に作動してマーケットが大きく動く。しかし、その際には、流動性が枯渇して、市場は更に混乱するかもしれない。あるいは、毎日、数兆単位でトレーディングされている市場が、サイバー攻撃や、サイバー戦争に曝されるかもしれない。 もし、ハイ イールド社債の様なただでさえ脆弱な市場がクラッシュすれば、2017年は、たぐい稀な年となるかもしれない。

最後の「驚き」は、得体のしれない金属である「金」によってもたらされるかもしれない。金価格の目標水準を考えることは馬鹿げた行為である。2008年以降、中央銀行がバランス シートを拡大し始めた時(量的緩和を始めた時)、投資家が金を買った理由は理解できた。しかし2011年以降に金が下落すするまでに、金価格が2倍以上も値上がりする理由は殆どなかった。

アメリカの大統領選挙以降、投資家のインフレ期待が高まっているので、金が上昇すると思われたのかもしれない。しかし、実際は、急落した。恐らく、投資家は、金をドル上昇に対する背反選択(ドル高なので金は買えないとの選択)をしたようである。 しかし、金は、単なるインフレ ヘッジだけの役割ではない。金は、政治的なリスクに対して買われる金属でもある。もし、トランプ政権が、中国やイランに対してより敵対的な態度を鮮明にすれば、2017年以降、金は休む間もなかったと想像する事も難くないであろう(大幅に金が買われる)。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “2017年、何がビッグ サプライズになりうるか?!
  1. パードゥン より
    ビッグサプライズはイギリスの分割では?

     スコットランド独立とか
    英誌なのに、イギリスについて語りませんね(笑)

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