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The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2018/05/12 22:10  | コラム |  コメント(2)

プラドの至宝ボス③

書店に行って探しても・・
画集はあるのだがボスの経歴は乏しいものだった。版画の顔は見られた。大きな目と深い皺が印象的だった。皺は厳しい現実を物語り・・目は彼の世界を幻視し続けているといった感覚だった。素性は画家組合に所属していて・裕福な妻を娶っていた程度だ。本名は別にあったが・・何故ボスと言う画名を選んだのか・どんな意味があるのかも・てんで判らず歯がたたなかった。

帰国後も調べたが大したことは掴めなかった。
ボスと僕の間は・・全く縮まらなかった。
部屋には・・プラドから持ち帰った大きな「快楽の園」ポスターを飾り・PCの壁紙も快楽の園を選んでいたが・お粗末な知識は距離を広げるのには役立つ一方で・相変わらずボスは謎の人物・謎の画家のままだった。

だから諦めてただ眺めるだけの関係だったが・・面白い事にプラドを書き始めると・
スペイン作家ハビエル・シェラ「プラド美術館の師」とアマゾンでかち合った。
見ずてんだったが入手すると・・掘り出しでボスが記載されている。一読すると・・これまでに得た僕の知識よりも深いではないか・!天祐というより・・ボスが憐れんでくれたのかも知れない。斑の知識の穴埋めには出来たが・・それでもあの男を・ボスという画家を捉えられた訳ではない。

模写の大作を完成させた・・その余分に七つの大罪も物にしてしまった親分の深い洞察が・・ボスとの対話を交わした筆が・一番肉薄した事は確かだが・残念なことに筆違いで文字にはならない。画家にとって色彩は言語だ。この言語はエスペラント語で・・親分はボスから直接会話された事になる。

ハビエルは・・
ナチスに抵抗した・・グリューネヴァルトの研究家・美術史家・民俗学者ヴィルヘルム・フレンガー論文を紹介してくれる。
フレンガーの考察は・・今日でもボスの世界を説明可能な唯一の理論になっているそうだ。
彼によると・・「快楽の園」は異端とされた「自由精神同盟団」の信者達が・瞑想と祭事に
使われた道具・祭壇画と憶測している。

この教団は・・13世紀にオーストリア・ボヘミア・フランドル等中央欧州に起きたキリスト教分派で・俗にアダム派とも呼ばれた。
アダム派の主張は・・自分達は神に似せられて創造されたアダムの子であるから・原罪を受けていないと信じた。
フレンガーは・・この分派を2世紀北アフリカで興ったアダム派の再来とした。アダム派は洞窟で裸の儀式をした。既に聖エピファニオス・聖アウグスティヌスが・・真の信仰からの最初の逸脱と言及していた。

「女も男も裸で集まり・・裸で祈り・裸で聖書精読を聴き・裸で秘跡を受ける。
 故に自分達の教会を楽園と呼んでいる」

なる程・・ボスの三連祭壇画を見直すと・説明通りの光景が絵画の中に展開している。
1411年この祭壇画が描かれる百年前・・フランドル地方の有力なカンプレー司教区で・
異端審問が行われ・ブリュッセルのカルメル会士二名と代理人が・火刑判決を受けていた。

捜査と尋問で・・アダム派の信者達は洞窟で儀式を行い・ローマの宗教権力に不服従を示し・この世の終わりの即時到来を期待していた事が・世に暴かれた。
世界終末が来れば・・真のアダムの子である自分達が・神が創造したままの姿で・地上を歩ける事が出来る・その事を世界は気付くだろうと信じていた。

その教義を信じても良いが・・長年快楽の園ポスターを部屋に飾って来たのだから・・
アダム派が見れば・・僕は熱心な信者と思われるだろう。裸で一緒に歩きたい女性は居るが・・彼女がアダム派か判らない盲点がある・・
それに冬はどうするんだろう・??
夏だけのアダム派信者は許されるのだろうか・?!・・・

( ^ω^)

2 comments on “プラドの至宝ボス③
  1. おののののか より:
    親分の説でいいのでは

    ボッシュはドイツ語系のよくある名前では。
    キリスト教は神の子という凄い構造だから分派が出て当然。これに旧約の事跡と三位一体も絡むからなおさらだ。プロテスタント諸派など、自分たちで教会と理屈を創って拡散して行く。薔薇十字、フリーメイソンなどの裏社会もある。最初から異端がありすぎて勘弁してほしいが、それ故さすがに政教分離の建前まで行った。

    ユダヤ・イスラム教は本来は異端を出してはいけないな。だから政教分離はむずかしい。人間の集団だから仕方ないが。ペルシア(イラン)などアラブの野蛮人に征服されたから異端に飛びついたようなものだろう。キリスト教の方に親和的だからシーア派辞めて改宗しろよ。核も認めてやるからさ。笑 イスラエルだって歴史上ユダヤとしてペルシアには借りがあるからイラクの様には攻撃しにくいだろう。笑

    まあボスの絵は親分の言ってくれたように庶民の地獄絵のようなものと思えばいいのでは。キリスト教の異端の流れと考えるのは勘弁してほしい。笑 カトリックのやったようにゲルマンの習俗との習合と考えてもいいのでは。そんな野蛮人ゲルマンは与えられた三位一体とフィリオクエも、無意識的構造の一助として、西欧社会を生み出したのでは。笑

    プラドでボスと出会って以来・・随分長い付き合いが始まった訳だが・
    フレンガーの理論が一番様になっているように思える。彼を越える理論はまだ出ていない・・・
    ( ^ω^)

  2. おののののか より:
    絵解き

    偶像禁止で絵画隆盛を生み出せなかった東欧やイスラムと違って、隆盛した西欧は絵解きが重要だから、習俗のキリスト教側の淵源を遡るんでしょうね。他にも調べた人は多かったのだろうか。一応天国と地獄と現世、アダムとイブが描かれているのだから仕方ないか。

    日本人から見れば余りの異端の数の多さとこだわりに辟易するが、その強度が、日本の仏教諸派と違う。仏教では異端とか火あぶりとか徹底した殺し合いとかあまり聞かないし、あそこまでのこだわりも少ない。(大乗は三位一体にでも相当するのだろうか)

    自由精神同盟団、これはプロテスタント諸派の走りみたいだな。北アフリカ発祥のアダム派なんて米国にいかにもありそうだ。いやあった気がする。笑 ゲルマン的精神の発露なのでは。笑 大雑把に言って新教の精神のような気がする。自由とか言いつつ、多分に古くて封建的で政治的とも思うが、これが近代国家・結社の自由・政教分離にも繋がっていったのでは。笑 

    フレンガーの時代よくまだそんな探求心があったな。ふつう灯台下暗しになりそうなもんだが、ナチスに刺激されたのかな。絵解きの伝統と、信仰の強さ、単なる庶民の本流的絵では済ませてくれないな。笑 そういうの嫌いではないが・・・辟易する気持ちも湧きあがる。このしつこさも西欧なんだろうな。

    フレンガーは東京オリンピック年死去・・現代の研究家だ。
    グレゴリー・J・ライリー「神の河・キリスト教起源史」
    読んでごらんよ・・・( ^ω^)

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