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The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2018/02/14 10:44  | コラム |  コメント(2)

ベラスケス寸描③

ベラスケスが・・生きていた・・仕えていたスペイン国王フィリッペ四世の時代は・・腐敗しきっていた。政治的にも・経済的にも・軍事的にも凋落し・・戦えば必ず勝った軍隊は・・戦えば必ず負ける程・・国家は疲弊し国威は堕ち・・王の権威は形骸化していたが・・王は放蕩に余念がなかった。

南山大・佐竹教授著「浮気な国王フェリペ四世の宮廷生活」によると・・

「道徳は上部では称揚されていたが・・実際にモラルの低下は著しく・・性道徳も地に落ち・・特に上流階級の人々の生き様は不羈奔放なものであった。当時の外国人旅行者達の記録には・・スペイン人の大きな関心事が性愛であり・・裕福な貴族の若者の大半が13歳前後になると・・身持ちの良くない女優とか・・いかがわしい女を情婦に持つようになったと記されている。

フィリップ四世とて例外ではなく・・この浮気な国王の放蕩な宮廷生活は・・かなり若年の頃に遡り・・相手が既婚であろうと未亡人であろうとお構いなく・・宮廷の侍女や・・果ては街角の娼婦にまで及んだと言われている。おまけに修道女に熱をあげたという噂話まである。
また芝居小屋へ足を運べば・・そこで女優を見初め・・言い寄ることもあった。
王にとって・・事が性愛にとなると階級は存在しなかった」

しかし・・この王は芸術品に関しては目利きだった。ベラスケスの才能を真っ先に見出した。ローマに美術品購入のために・・ベラスケスを派遣した程だ。

プラドにあるベラスケスの作品の中で・・僕が理解に苦しんだ・悩まされた小品が二点ある。
「メディチ家の庭園」と呼ばれている地味な風景画だ。横44㎝縦48㎝。

ベラスケスは・・ローマに滞在中・1630年の猛暑を避ける為・・案内された郊外高台のメディチ家の別荘を・・門から少し離れた処で作品化していた。

僕は・・一見平凡に見える風景画を・・どうしてベラスケスが描いたのか・・そしてスペインに持ち帰ったのか・・全く斟酌できなかった・・剣もほろほろにすげなくあしらわれた。理解したくとも全く手掛かりがなかった。
ただ漠然と感じたのは・・ベラスケスの技巧をもってしても・・この様な自然の光景を描くのは・・非常に難しかったのだろうかという憶測だけだった。

BBC・美術プロデューサーのローラ・カミングが・・「消えたベラスケス」で述べている。

「・・木陰の多い庭園を見渡せる・・涼しい部屋で過ごした。滞在中ベラスケスは・・それまでしなかった事がない行動をとった。
庭園に出て・・景色を見ながら絵筆を握った。
描かれたのは・・糸杉に囲まれた長閑な一角だ。古代ギリシャ風のアーチ門は薄板で塞がれ・・その上のバルコニーの緑には白い布が掛けられている・・」

ローラは更に述べている。
「特別な場面を描いたものでもないのに・・何故か心惹かれる。
この矛盾が・・この作品を神秘的なものにしている」

彼女は教えてくれた。
この風景画は・・画房を離れた・現場で描かれた初めての写実作品だと言う事を。印象派の連中が日常茶飯事にやり始めたことを・・ベラスケスが既にやっていたのだ。それまでの絵画に風景が描かれていても・・画房内での画家の想像物に過ぎなかった。

この庭園は現存している。が・ベラスケスに描かれた同じ壁ではないだろう。あの見事な漆喰の壁ではないだろう。絵画・カンヴァスと壁は似ている。それとは違う異なると彼女は語る。

「カンヴァスに塗る絵具と・壁に塗る漆喰との見事な類似性だ。ある部分には・絵具がたっぷりと滑らかに塗られ・別の部分では薄く塗られ・時にはカンブァスの布地が・透けて見える程絵具を擦り取り・細かい格子模様を・・漆喰から透けて見えるレンガ壁に見立てている。
つまり・描かれている対象をそっくりそのまま真似ているのだ」

真似ているというのは・・穏やかではない。表現しているが妥当な表現だろう。
何故・ベラスケスがこの小さなキャンバスを選んだか・・彼女は指摘する。

「離れて見ると・・
 カンヴァスの布目が・レンガの模様を再現するのに・ぴったりの大きさなのだ」

ローラの指摘は続く。

「この作品は・絵画に小さな革命を起こした。単に・並外れた手法で描かれた・というだけではない。描かれた理由も・物語性も・焦点も何も無さそうな点が新しい。何気なく眺めていて・目に入った断片的な光景・その一瞬を捉えたこの絵は極めて斬新で・・当時の買い手が欲しがった・ニンフや神殿で埋めつくされた古代ローマの風景画等とは・・大きく異なっていた」

若造を悩ませただけの事が・・背景にあったのだ・
皆様もプラドに参上された際は・・ベラスケスの偉大な大作だけでなく・・こんな小さな風景画にも瞠目して頂きたい・・同じように偉大な作品なのですから・・・
( ^ω^)・・・(笑

2 comments on “ベラスケス寸描③
  1. おののののか より:
    変化

    ベラスケスとフェルメールは似た感じがして好きなのですが、そういえばフェルメールの風景画はいいなーとよく見るのに、この絵は気付きませんでした。どうしてベラスケスには風景画がないのだろうとさえ思わなかった。スペインバロックは風景は描かないものという固定観念があった気がする。笑

    やはりローラさんの説明を聞いてもなぜか気が変わらいな。良さがわからない盲人。笑 ゴヤは今回ぺルドンさんの説明を聞いて、おおそうかと、絵が動くような素晴らしいものにみえてきた。笑 以前は筆使いの荒い絵だと思っていた。あの当時こんな絵を描くとは驚異的だ。それぞれの絵の主題が、いききと思えてくる。だいたい時代に挑戦的だ。確かにキラキラした現代的な、筆使いが見えてくるような気がして来た。たまにこういう事がある。いつかパッと閃く時が来るのかな。笑

    パッと閃いて輝き・・冬の花火の様に消えていくのです・・・
    ( ^ω^)・・・(笑

  2. おののののか より:
    金銀財宝

    新大陸からの莫大な量、西欧中に消費してばらまいてくれたおかげで今があるのでしょうか。離陸するはずのないスペイン国内経済を通リ越して、特にオランダ・英国の経済に。
    本当にこの時期スッカラカン?。ハプスブルグの後裔はまだ持っているんでしょうか。笑。
    今もバブルマネーが新興国に流れているが、襲っているという感じ。資本主義は最初にカネ有りきか。笑

    滅びる寸前・・・
    ( ^ω^)・・(笑

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