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The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2017/07/16 18:51  | コラム |  コメント(0)

気まぐれ半十郎⑨

「不思議な事に」
と奉行は言葉を継いだ。
「藩主に御猶子をお迎えすると・・この藩は大騒動が起きる」
「その大騒動が・・起きるのでござるか」
この落ち着き払った奉行に・・半十郎は根掘り葉堀り・・問いただしたくなった。少し奉行は躊躇った。が・・躊躇なく答えを返した。
「大騒動が起きねば・・この藩は変えられぬ」
「大善に・・腹を切らせば済む事では」
「切らすのには・・それなりの騒動が・・必要でござろう。政事向万法の掛り三十四人に腹を切らせたら・・それだけで藩は潰れる」
半十郎は・・昨日から考えていた事を口に出した。
「梅干と西郷・・捨て石にされたのか」
「当方から・・捨て駒にしたのではない。御両名が自ら望んで・・引き受けられ・・命を使われ申した」
「手先を切り捨て・・大善に身を引くことを・・警告された」
奉行は微かに頷いた。
「銭をばら撒き・・苦しんでいる城中の者共や百姓・町人・遊女にまで・・一息付けさせられた」
「両名は義賊になり申す」
「確かに・・そして・・領民は怒りを腹に抱え・・耐えながら・・次の大きな事を・・騒動を待ち望む」
「大善殿は耳を貸すまい・・更に過酷なお仕置きをされるであろうな」
「それが御奉行の筋書きでござるか」
「藩を救う為には・・領民をこの生き地獄から救うには・・この道以外あり申さぬ。半十郎殿は・・他に何か良き思案がござるか」
「あり申さぬ。柳営との約定済んでいる以上・・」
奉行は顔を綻ばせた。
「拙者は戦がしたい。領民が一名も犠牲者を出さず・・望みを総て勝ち取らせる・・戦をしたいのでござる」
「大した軍師だ」
半十郎は素直に称賛した。
「まだ始まったばかりでござる」
奉行は慎ましやかに答えた。

半十郎は・・この郡奉行の戦を確かめたくなってしまった。血沸き肉躍る思いを・・武士の本懐を確かめたくなった。こんな戦・・めったにねえや・・半十郎に侍の血が湧きたってきた。
そんな半十郎を視ぬいた奉行は・・監察は必要でござると囃し・・離れに留まる事を薦めた。勿論半十郎に異論はなかった。

江戸への土産話が・・とんでもねぇ大風呂敷になっちまったぜ。
大騒動になれば・・刀を抜く羽目になるかも知れん・・何人か切るかもしれない。切られるかも知れない。江戸で高い金を払い・・稽古を付けられた効き目があるか・・もうすぐ分かるだろうて・・半十郎は気安く決着をつけ・・思い悩むのを捨てた・・・

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