ブログ記者によるオンライン新聞 グッチーポスト

The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2017/05/17 11:42  | コラム |  コメント(2)

春の亡霊②

端正なストックホルム国際空港で・・マエストロが予約したボルボ・アマゾン・エステートを受け取った。荷物を詰め込む。朝に弱いマエストロは・・後部座席で座るなり呟いた。
「ランチになったら起こしてくれ」
帽子を深く被って眠りについた。運転に馴れたワーゲン・ビートルと違い・・アマゾンはズックラした容貌に相応しく・・ハンドルも重厚だった。

助手席には彼女が座り・・ミシェランの地図を広げた。ナビゲーターを引き受けてくれる。道は事前に調べておいた。コペン―ハーゲンに向かう一本道だ。難しくはなかった。
だが・・美人の護衛が横に座ってくれたのは・・ちょいとした喜びだった。おまけに無口だった。運転に集中出来る。彼女の控え目な香水は・・スエ―デンのまだ寒さを・・底に残した春に相応しかった。

有能なナビゲーターの御蔭で・・ストックホルムの街を迷わずに抜けた。郊外の街道を走らせる。マエストロとは結構饒舌に・・楽しそうに話す護衛も・・僕と会話を楽しく交わすのは・・不倫と信じているかのように・・頑なに口が強張っていた。もっともペラペラお喋りをする護衛よりも・・無口な女護衛の方が・・スエ―デンの無愛想な自然に相応しかった。

途中で止めたドライブインで・・質実剛健なスエ―デンのランチ・・オープンサンドイッチを摂る。薄切りの固い黒パンの上・・好きなトッピングを乗せ食べる。美味しくて癖になるというには程遠い。

それから一本道を右手に折れ・・樹海にも似た森の中に入って行く。車のすれ違いには・・気を使う広さだった。岩がアクセントのよう・・アチコチから顔を出している。白樺も混じっている。ノルウエーまで突破したのか・・と疑う程走らせ・・やっと目的の館に到着した。

森を切り開き・・造られた野原の広場に館はあった。
驚いた事に・・北欧で見受けられる・・赤レンガ造りの館ではなかった。英国様式の・・古いティンバァフレーム造りの白壁の館だった。これは珍しかった。少なくとも・・本屋で昨日下調べした・・スエ―デンの館集の書籍には・・記載されていなかった。

暗緑の森に包まれた白い館・・後程判ったが・・後ろにはかなり大きな池が・・付属品のように控えていた。夏の別荘としては・・申し分が無かった。申し分なかったが・・人気は無かった
。根っからの人間嫌いが建てたのか・・孤独を伴侶とする貴族が建てたのか・・判断に苦しむ建物だった。

玄関に車を止めると・・待ち構えていたように・・少しの間も置かず・・背が高い厳めしい老人が・・扉を開け出て来た。
執事と管理人を兼ねていた。男爵様がお出での時は執事で・・今は管理人ですと挨拶し・・順番に武骨な握手をしてくれた。護衛は秘書とマエストロは紹介し・・僕は画家助手となった。

2 comments on “春の亡霊②
  1. おののののか より:
    風景・気候

    師匠の活動領域は、アルプスより北がほとんどだったのですか。

  2. ペルドン より:
    おののののかさん

    スペイン・・
    忘れがたい国・・・( ^ω^)・・・(笑

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