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2018/03/20 05:21  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

機能不全を起こしている日本の不動産市場

おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

2011年の津波は、東北地方の沿岸に戦争の攻撃で出来た穴を思い起こさせるような大きな傷跡を残した。当時のカー ナビゲーション システムは、海に沈んだ陸標を示していた。その後の復興の努力の中で、思いもよらない障害に直面する。 それは、土地の所有者が見つからない問題である。 担当部署は、1つの土地に、何百ものの名前の分からない、あるいは死亡した土地の所有者探しに苦労している。

津波は、東北地方の復興にこうした問題を投げかけた。 しかし、これは何も東北に限らず全国規模の問題でもある。昨年、専門家によって分析され、政府に報告されたレポートに寄れば41,000平方キロメートルの土地(日本の国土全体の約11%)が、こうした所有者不明の土地であり、それらの殆どが地方に集中している。 更に、2040年までには、こうした土地は更に倍増すると見込まれている。 これら未活用土地の損失額は6兆円にも上ると推計されている。

日本の地方は、空き地や空き家で溢れかえっている。戦後の一時期は、山間部から海岸部へ人口移動が起こり、最近では、地方から都市への人口移動が続き、更に人口減少が拍車をかけている。所有権の移転は同族間で何世代にもわたって行われ、その途中で途切れてしまっていることがある。東北の土地の所有者の中には、1860年代以来一度も書き換えられていないものもある。

その理由の一つに、他の先進国と違って、日本は、登録によって土地の所有者を変更する必要がなかった。 名義書換にかかる税は評価額の0.4%かかり、変更手続きは司法書士によってなされ、それには、また手数料がかかる。また、相続人が二人以上となれば、費用は更にかさむ。 また親族間の相続では、身内故に名義を更新する必要もなかった。

Rie Nakayaさんは、4年前に亡くなった母のことで嘆いている。というものも彼女は、四国の山間部の祖先の土地を相続した。彼女に取って、相続は「棚からぼた餅」ではなく、逆に重荷となった。ボロボロの300㎡の家を解体する費用は高額で、土地を処分しようにも買い手がつかなかった。彼女に残された手段は、毎年、郵便ポストに届く固定資産納税書を受け取るだけであった(固定資産税を払い続けるだけであった)。

Nakayaさんの相続税問題は大きな問題を抱えている。つまり、多くの土地が殆ど無価値であるという問題である。日本の土地は1990年代にピークを付け(土地と株のバブル)、その後はバブルが弾けた。確かに、東京などの中心都市の土地の価格は回復したが、過疎に直面している地方の土地は二束三文に近い。信じ難いような移民の波が押し寄せない限り、こうした状況は変わりそうにない。

担当役人が土地の所有者を必死に探している時、国土交通大臣Uichirou Masumoto氏は、所有者不明の土地の殆ど全て見つけていると述べている。 しかし、それは非常に時間と労力がかかる。担当部局では、例えば、道路を作る際には、その所有者を見つける為に何千時間もの時間をかけて所有者を探している。あるケースでは、1つの土地の所有者の相続人が本来の相続手続きがされなかった為に600人にも及ぶこともあった。政府に空地問題を提言している東京大学のYasuhi Asami氏によれば、日本人の中には、日本に敵意を持つ中国などの他国が、こうした空地を買い上げるかもしれないと危惧している人もいる。

政府は、これに対して幾つかの対策を考えている。 その一つに、相続の際には強制的に名義変更をさせるというものである。 これによって新しい所有者は最低でも固定資産税を納めなければならない。広大で所有者が複雑に絡んでいる東北復興などの公的プロジェクトでは、こうした事を積極的に推進することで、法的な障害を低減させることが出来る。Masumoto氏は「この問題は単純に法的システムが時代遅れになっているからである」と述べている。

しかし、それ以上にもっと必要なことがある。前の総務大臣Hiroya Masuda氏は、「地方の相続の問題以上に、都市部、あるいは大都市部でも、多くの家が空き家になっている」と述べている。多くの人が亡くなり、望むと望まざるにかかわらず所有者の名義を変更しなければならない件数は、2040年頃には167万件に上り、国全体で相続手続きがスムーズに行われない可能性がある」と危惧している。

イギリスのSheffield大学のPeter Mantle教授は、「こうした問題を前に進める一番いい方法は、空いた地方の土地を森や公園などの自然に戻すことである」と述べている。彼は、20世紀に発展したアジアの国々を見ていると、日本は、今後の少子高齢化社会に如何に対応すべきかを示すお手本になると考えている。

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尚、このレポートは情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

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