それいけクラシック!! https://guccipost.co.jp/blog/kano ブログ記者によるオンライン新聞 グッチーポスト Thu, 02 Apr 2020 11:57:36 +0000 ja hourly 1 http://wordpress.org/?v=3.3.1 クラシック音楽界の現状 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=211 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=211#comments Thu, 02 Apr 2020 11:51:41 +0000 加納ハルキ https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=211 続きを読む]]>

 いよいよ新年度、半年ほどご無沙汰してしまいました。
 世界は、半年前には想像のつかなかった事態となってしましましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。ご無事を祈るばかりです。

 どの国も、どの職種も大変な状況に陥っておりますが、本日はクラシック音楽界の現状を少しだけご紹介いたします。

 新型コロナウィルスによる感染が世界に拡大するなか、中止を余儀なくされる音楽会も増加し続けています。近年、桜の季節に上野で行なわれる音楽祭として定着してきた「東京・春・音楽祭」は、東京都の自粛要請の発表後、全公演の中止を決定。5月の連休中に東京国際フォーラムで開催され、幅広い層の聴衆に親しまれてきた「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」も、3月27日に開催中止のニュースリリースを出しています。

 私個人としては、名手アルゲリッチとクレーメルによるデュオ・リサイタル、今最も注目されているクルレンツィス指揮ムジカエテルナが来日中止となり、大変残念でした。チケットの払い戻しをするにあたっては、主催者からEメールに電話、封書でも通知が来ましたが、サントリーホールを複数回満席にする公演ですから、その手間や費用も含め、関係者に相当な負担がかかっているに違いなく、非常に心配です。

 海外に目を向けると、音楽の都ウィーンのオペラの殿堂、ウィーン国立歌劇場は4月13日までの全公演をキャンセル。もちろんウィーン・フィルも同様です。

 先日、ウィーン・フィルの知人に電話で様子を聞きましたが、4月13日以降の再開もやはり難しそうで、今は夏のザルツブルク音楽祭がどうなるかに注目しているようでした。
 4月1日の夕方に入ってきたニュースでは、世界の音楽愛好家、特にワーグナー好きがドイツに集まる夏のクラシック界の一大イベント、バイロイト音楽祭の中止が伝えられましたので、ザルツブルク音楽祭の開催も厳しいとみるべきでしょうか。
 ウィーン・フィルは、毎年夏の夜にシェーンブルン宮殿で行っている野外コンサートを9月18日に延期していることからも想像がつきますが、9月からの新シーズンには公演を再開したいという希望を持っていることでしょう。

 先の見えない状況が続き、観客を前にした演奏機会を失いながらも、たくさんの演奏家、演奏団体などが、インターネットを通じて、無観客演奏による配信や過去の演奏会の無料配信を行っています。

 そのひとつとして、中止となったNHK交響楽団の4月定期公演の無観客ライヴ配信の実施をご紹介しようと書き始めていましたが、本日4月2日、それも中止が発表されてしまいました。FMやテレビ収録も中止とのことです。ウィルスの影響下、本当に日々状況が変わっていきますね。

 次にご紹介したいのは、過去に収録した演奏会の無料配信です。ここでは、グッチーさんも愛した名門ウィーン国立歌劇場、ベルリン・フィルの取り組みに注目してみましょう。

 各国の数々の有名歌劇場が過去のオペラ公演映像の無料配信行っていますが、先ほども現状をお知らせしたウィーン国立歌劇場では、公演キャンセル期間中の13日まで、過去の公演映像を無料配信しています。
 たとえば4月3日は2018年12月に行われた「ペール・ギュント」、4月5日は2016年11月の「ラ・ボエーム」など、日替わりで鑑賞できます。詳細は下記URLよりご確認ください(鑑賞の際には、メールアドレスとパスワードを登録し、ログインする必要があります)。

https://www.staatsoperlive.com/calendar

 早くから演奏会の模様を有料配信してきたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の「デジタル・コンサートホール」は、30日間試聴できるクーポンを配布しています。実際のコンサートホールは3月11日よりウィルス対策として閉鎖されていますが、自宅で演奏を楽しんでもらおうと、いち早く無料クーポンの配布を始めました。当初は、3月末で配布を終了する予定が、当面終了日を設けずに期間を延長することにしたそうで、ありがたいことです。
以下のURLから無料クーポンを受け取り、使用することができます。

https://www.digitalconcerthall.com/ja/live

今は、これらを鑑賞しながら、活動再開を待ちたいと思います。厳しい状況下にある演奏団体・演奏家とその関係者たちが、また元気に演奏を聴かせてくれることを祈って。

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音楽とともに https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=205 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=205#comments Wed, 09 Oct 2019 09:56:48 +0000 加納ハルキ https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=205 続きを読む]]>

 9月に入ったある日、「この秋、またグッチーポストの読者の方々にお薦めできる、ウィーン・フィル首席チェロ奏者の来日公演がある」とぐっちーさんにお知らせしていたのですが、その件で交わしたメールのやり取りを最後に、1週間後に亡くなってしまうとは……
 1年前にご紹介したシュトイデ弦楽四重奏団のコンサート終了後、浜離宮朝日ホールのロビーにいた彼は、演奏の余韻に浸り上機嫌でしたが、以前と異なる顔つきを見ると、どうしても健康とは思えませんでした。「痩せすぎじゃないか?」と尋ねると、「ヴィーガンの生活をはじめたからだ」と。グッチーポストの編集部の方に聞いても答えは同じでしたが、癌と闘っていたのですね。
 ぐっちーさんから四谷三丁目の寿司屋に呼び出され、「今度ブログを立ち上げるから、クラシックを中心とした音楽の記事を書いてくれ」と言われたのは、思えばちょうど10年前のことでした。その後、私は新たな記事の更新がほとんどできなくなり、皆様には大変失礼をいたしましたが、ぐっちーさんの続投命令を受け、細々と更新して参りました。
 彼からは、芸術に対する意識も高い読者の方がたくさんいらっしゃるので、そうした方々に向け、良質な音楽を紹介してほしい、と言われていました。そこで、これまでCDをご紹介したり、生の演奏会をお聴きいただくお手伝いをして来ました。
 ぐっちーさんは、幼少時よりクラシック音楽を愛好していたようで、彼が10代の頃、家に泊めてもらった折には、一緒にレコードを聴き、音楽談義をしたのを覚えています。そのとき彼が最初に針を落としたレコードは、ベーム指揮ウィーン・フィルのブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」、1974年にレコード・アカデミー大賞を受賞した名盤でした。
 ブルックナーと言えば、この夏、ぐっちーさんの旧友でもある指揮者の長野力哉氏が率いる日本ブルックナー交響楽団が、ブルックナーが眠る聖地、オーストリアのザンクト・フローリアン修道院の大聖堂で日本人初の演奏を行ったのはご存知でしょうか。雑誌『音楽の友』でも紹介されたこの演奏会を、スポンサーとして周りの人々にも協力を求めながら惜しみなくサポートしたのが、ぐっちーさんでした。
 自分が認めた「本物」を多くの人と共有し、それを生み出す人々をサポートする、という彼の姿勢の背景には、人と音楽に対する深い愛情がありました。
 数年前、彼の身内の方に不幸があった折には、「葬儀でかけるレクイエムのCDを持ってきてくれ」と言われて、何枚かCDを渡しましたが、彼は迷わずモーツァルトのレクイエムを収録した1枚を選んでいました。いま、そのベーム指揮ウィーン・フィルの演奏するCDを聴きながら、先に逝かれたご家族や愛猫のしまちゃんと合流して満面の笑顔を浮かべている彼の姿を想像しています。どうか、安らかに。

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シュトイデ弦楽四重奏団、浜離宮公演 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=201 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=201#comments Thu, 18 Oct 2018 11:04:13 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=201 続きを読む]]>

 昨晩、10月18日は、シュトイデ弦楽四重奏団の浜離宮朝日ホール公演でした。

 4人のメンバーのうち、第2ヴァイオリンのホルガー・グローが、健康上の理由により、今回のツアーに参加できなくなったとのこと。来月には、ウィーン・フィルの来日公演などが控えていますので、一日も早い回復を祈るばかりです。
 代わりに登場したのが、アデラ・フラジネアヌ。経歴からは、ブラームス国際コンクールなどでの優勝歴もあり、演奏経験も豊富な若手の実力者と見えます。まだ数少ないウィーン・フィルの女性団員です。

 話題の公演とあって、会場には、数々の音楽評論家の姿が。さらに、ウィーン・フィル関連公演でよく見かけるお客さんの顔もたくさん! 演奏者交代がインターネットで事前に発表されていたこともあり、中には、「フラジネアヌさんがどんな演奏するか楽しみに来た」とか、「彼女は上手くてかわいいから、ベテラン演奏家にも可愛がられて演奏しているよ!」(未確認情報)などという人も。ウィーン通の熱意と情報はすごいですね。

 交代に関しては私もさほど心配していませんでした。というのも、前回も書いた通り、ウィーン・フィルへの入団の時点で、演奏家の音楽の方向性がある程度見極められており、さらにオペラ、オーケストラ、室内楽活動を通じ、音楽言語を共有しているからです。コンサートマスターのシュトイデに選ばれ、導かれたフラジネアヌは、結果、グローと遜色ない演奏を披露していました。
 感銘を受けたのは後半のシューベルト「死と乙女」で、随所で美しさと切り込みの深さが感じられました。アンコールのボロディン「夜想曲」(弦楽四重奏曲第2番第3楽章)も、録音もある自家薬籠中のレパートリーとあって、各パートで歌われる名旋律が絶品。終演後のぐっちーさんの顔も満足そうに見えました。

 弦楽四重奏団の今後はもちろんですが、名手シュトイデの演奏も気になるところです。11月のウィーン・フィル公演ではブラームスの二重協奏曲(11月15日ミューザ川崎、11月24日サントリーホール)で彼がソリストを務めますので、これは注目。年明けにも来日の予定(彼は一体、年に何回来日しているのでしょうか!)で、1月15日にはオーケストラ・アンサンブル金沢の東京公演で彼の弾き振りによるニューイヤー・コンサートが行われます。リサイタルも開くようですが、東京では行われないようで残念。名古屋(1月9日宗次ホール)、大阪(1月16日ザ・フェニックスホール)で聴くことにしましょう。

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ウィーンの伝統を担うシュトイデ弦楽四重奏団、10月に来日 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=188 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=188#comments Sat, 22 Sep 2018 20:11:00 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=188 続きを読む]]>

 長らくご無沙汰して失礼いたしました。

 音楽のハード、ソフトメーカーの積極的な動きにより、「ハイレゾ」という言葉がすっかり定着した感のある今日この頃ですが、前回の執筆後、その動向を見極めようとするなかで、ブルーレイ・オーディオは当初の勢いを失い、このところは新しい技術であるMQAが注目されるなど、オーディオ/ハイレゾ界は変化を続けています。
 読者の方々にはご期待を寄せていただいたにもかかわらず、充分な情報をお届けできず、申し訳なく思っております。ハイレゾにつきましては、機会をみて改めて情報をお伝えしようと思います。

 今回、注目するのは、10月に来日する、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団第1コンサートマスターが率いるシュトイデ弦楽四重奏団です。
 ニューイヤー・コンサートでもおなじみのウィーン・フィルは、日本でも相変らず人気の高いオーケストラですが、その魅力として語られることのひとつに、「ウィーンならではの響き」を挙げることができるでしょう。団員の国籍も以前よりはるかに多様になった現在でも、とくにウィーンに縁の深い作曲家の作品で聴かせる演奏には、このオーケストラ独特の魅力があります。
 ウィーン・フィルが、団員の自主運営によるオーケストラで、楽団長の選出や指揮者の選定まで団員が行っているのはよく知られています。さらに、新入団員からコンサートマスターの選出まで、これも団員を中心としたオーディションで決定されますので、自ずとオーケストラの音楽の方向性に沿った音楽家が集まることになります。
 そして団員たちは、シーズンともなれば連夜、ウィーン国立歌劇場で行われるオペラ、週末のオーケストラ公演で伝統の響きを体に染み込ませていきます。
 さらに、その音楽性とアンサンブルが磨かれるのが、団員同士による室内楽だとも言われてきました。弦楽器、管楽器ともにさまざまな室内楽団体が存在するウィーン・フィルのなかでも、歴代のコンサートマスターが率いる弦楽四重奏団は、常に注目され、その期待に応えてきたと言えるでしょう。古くは19世紀、ブラームスやマーラーの時代にコンサートマスターを務めたロゼの弦楽四重奏団、20世紀にはシュナイダーハン、バリリ、ヴェラーなどメジャー・レーベルの録音でもおなじみの弦楽四重奏団がよく知られており、近年ではキュッヒルやヒンクのグループが活躍しています。

 このような長い伝統を継承する、新たな四重奏団の誕生が期待されるなか、21世紀に登場したのが、2002年結成のシュトイデ弦楽四重奏団です。メンバー全員が1970年代生れの、ウィーン・フィルの中核を担う団員で構成されています。この団体を率いるフォルクハルト・シュトイデは1971年生れ、1994年にウィーン・フィルのコンサートマスターに就任し、現在も第1コンサートマスターを務めるウィーン・フィルの顔。オーケストラやオペラの来日公演ではもちろん、ソリストやゲスト・コンサートマスターとしても日本を訪れていますが、本年10月17日、弦楽四重奏団としては4年ぶりの来日を果たします。

 2014年に浜離宮朝日ホールで行われた公演は、この年の屈指の公演と新聞紙上で絶賛され、その演奏を収めたライヴ録音CDは、『レコード芸術』誌で特選盤に選ばれています。中村孝義氏による批評では、収録されているベートーヴェンの「セリオーソ」とシューベルトの「死と乙女」について、「たっぷりとした豊かな響きや美しいカンタービレという伝統をしっかり身にまといながら、それに安住することなく、核心に踏み込んでいく潔さが感じられ、両曲の質を的確に捉えている」と記されています。
 今回演奏されるのも、ハイドン、ベートーヴェン、シューベルトと、ウィーンに縁の深い作曲家の作品で、シューベルトは精妙かつ歌心にあふれる「死と乙女」を再度聴くことができます。
 鋭角的な演奏が多くなった昨今、ウィーンの伝統を継承し、その力を現代に生き生きと示すシュトイデ弦楽四重奏団の王道を行く説得力のある演奏が、大きな感動を与えてくれることを期待しています。この秋、最も注目される室内楽公演のひとつです。

  
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「ハイレゾ」~音楽鑑賞の現在(2) https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=182 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=182#comments Thu, 22 Oct 2015 11:44:03 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=182 続きを読む]]>

 芸術の秋、皆様はいかがお過ごしですか。
 秋は演奏会シーズンの本番ですが、数々の音楽コンクールも開かれます。
 かつて「民音指揮者コンクール」と呼ばれた「東京国際音楽コンクール〈指揮〉」の本選は数日前に終了したばかり。80年以上の歴史をもつ「日本音楽コンクール」の本選は本日10月22日からスタートしています。
 世界に目を向ければ、アルゲリッチやポリーニなどの名手たちが過去の受賞者として名を連ねる「ショパン国際ピアノ・コンクール」の本選結果が昨日21日に発表され、韓国のチョ・ソンジン(21)の優勝が伝えられました。日本人では、14歳でEMIからCDデビューするなど若き才能として注目を集めてきた小林愛実(20)が、本選の10人に残ったものの残念ながら入賞は逃しています。
 優勝したチョ・ソンジン、実は、2009年の浜松国際ピアノコンクールで優勝し、審査委員長の中村紘子が激賞していました(ちなみにこの時の入賞者6人中4人が韓国人、日本人はゼロ!)。
 チョ・ソンジンの演奏は、来月リリースされるドイツ・グラモフォンのCDデビュー盤で聴くことができますが、ポーランド時間で本日22日と明日23日の午後7時に行われる、「ショパン・コンクール受賞者コンサート」が、なんとハイレゾでライヴ配信されます! 日本時間では日付が変わって23日と24日の午前2時開演となります。
 DSD 5.6MHzで生中継されるライヴ配信の詳細は、今回も、「DSD LIVE Streaming」のウェブサイトに情報がありますので、ご覧ください。
 前回ご紹介した4月のベルリン・フィルのライヴ配信は、予想以上に素晴らしいものでした。アナログ音源のデジタル変換の一方式である「DSD」は、今オーディオ業界でハイレゾを語る際、欠かせないものとなってきていますが、その音質の素晴らしさを最も生かせるのが、このようなライヴ配信と言えるかもしれませんし、私はここに音楽鑑賞の未来を感じています。皆様も、ぜひご体験ください。
 なお、このハイレゾ音源によるライヴ・ストリーミング配信の仕掛人は、日本の電気通信事業者、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)。同社CEOの鈴木幸一氏は、この10年、上野の春の音楽祭として定着した感のある「東京・春・音楽祭」の実行委員長も務めるなど、音楽界では注目の存在です。
 「ハイレゾ体験したいけど、音を聴くまでの準備が面倒!」という方には、次回以降で、比較的で手軽にハイレゾを楽しめるパッケージ・メディア「ブルーレイディスク・オーディオ」などをご紹介していきます。 ]]> https://guccipost.co.jp/blog/kano/?feed=rss2&p=182 2 「ハイレゾ」~音楽鑑賞の現在(1) https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=176 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=176#comments Sat, 11 Apr 2015 14:30:43 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=176 続きを読む]]>

 2011年3月の当欄で、「PCオーディオ」「ネットオーディオ」についてご紹介する、と書いておきながら、長い年月が過ぎてしまいました。あれから4年と1カ月を経た現在、音楽愛好家/関係者の間では「ハイレゾ」という言葉が市民権を得つつあり、入門書・ガイド本なども多数出版されるに至っています。
 これから数回に渡り、この「ハイレゾ」とその周辺をご紹介しながら、昨今の音楽鑑賞について改めて考えてみたいと思います。

 実はあと数時間後、ベルリンの現地時間の本日4月11日午後7時(日本時間4月12日午前2時)より、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの演奏会が、高音質でライヴ配信されるのですが、これは「ハイレゾ~音楽鑑賞の現在」を考える上での鍵となる重要な「実証実験」のイベントであり、音楽関係者からも注目を集めています。

 演目は、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」。鑑賞にはインターネットのブロードバンドにつながったパソコンと、特定のUSB-DAC(USB接続のデジタル→アナログ変換機器)、ヘッドフォンまたはスピーカー+アンプが必要となります。ご自宅に該当する機器をお持ちの方はぜひ高音質(DSD 5.6MHz)によるライヴ配信をご体験ください。

 いま機器が揃わなくても、4月19日24時(日本時間)まではオンデマンド配信されるそうなので、1週間以内に準備が整えば高音質体験が可能です。

 ライヴ配信の詳細は、「DSD LIVE Streaming」のウェブサイトに情報がありますので、ご覧ください。

 演目については、ベルリン・フィルの音楽配信関連のページをご参照ください。

 私も、これから指定の機器を接続して準備を始めますので、本日はこれで失礼いたします!

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オーケストラのランキング、日本の楽団の実力は? https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=170 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=170#comments Sun, 22 Mar 2015 20:11:14 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=170 続きを読む]]>

 大変ご無沙汰しております。
 ぐっちー編集長がクラシック音楽の話題で記事を書かれていましたので、私もこれに関して少し書いてみます。

 ぐっちーさんの発見したオーケストラのランキング(人気投票?)は、単なるお遊びで、発表された順位に対して、読んだ人それぞれが自分の考え、自分のランキングなどを披露しあう場を提供しているという程度のものでしょう。(今回のランキングが発表された、「NOT VERIFIED BY CNN」という注意書き付きの「CNN iReport」というものが何を意図しており、どれほどの意味を持つものなのか、正直申し上げてよくわからないのですが……)
 というわけで、酒でも飲みながら今回のぐっちーさんのような感想を言い合って遊ぶのが、こうしたランキングの正しい楽しみ方と私は思います!

 オーケストラのランク付けは、音楽雑誌ではたまに見かけるもので、日本では『レコード芸術』『モーストリー・クラシック』、海外では英国の『GRAMOPHONE』などの雑誌に掲載されていた記憶があります。「CNN iReport」の記事には見当たりませんでしたが、それぞれの雑誌では、選考基準(ランク付けした評論家名等)が記されています。
 私が記憶しているのは数年前(2~7年前)の掲載でしたので、最新のランクとは言えませんが、これらの雑誌の結果には共通する部分が多くみられます。その中で「CNN iReport」の結果と大きく異なるのは、アメリカのオーケストラでベスト10入りするのは、ニューヨーク・フィルではなくシカゴ交響楽団だということと、サンクト・ペテルブルク、チェコ、東京のオーケストラは10位圏外だということです。

 この数年、雑誌でベスト3に挙げられているオーケストラは、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、そしてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団です。2008年の『GRAMOPHONE』誌で第1位に選ばれたのは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管で、これには少々驚きましたが、演奏者の技量とアンサンブル能力の高さが世界最高水準であることは、誰もが認めるところでしょう。アムステルダムにある素晴らしい響きの演奏会場「コンセルトヘボウ」が本拠地で、オーケストラはここで真価を発揮します。同様に、ウィーン・フィルの本来の音は、本拠地であるウィーン楽友協会大ホールで聴くことができます。ベルリン・フィルも含め、条件が整えば、最良の音楽体験ができる可能性をもったオーケストラ&演奏会場と言えるでしょう。

 さて、日本のオーケストラは……。「CNN iReport」第10位の「Tokyo Philharmonic Orchestra」が、「東京フィルではなーい!」と断定しているのは、ぐっちーさんらしくて笑ってしまいました。彼の中に揺るぎないランク付けがあるのですね。それと、確かに東京には「Tokyo XXX Orchestra」という名のプロ・オーケストラがたくさんあって紛らわしく、海外の方が間違うことがあるのは事実で、過去にぐっちーさんのお知り合いにもそうした勘違いがあったのではないかと推測します。公益財団法人「日本オーケストラ連盟」の正会員になっているオーケストラだけでも、東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京都交響楽団、東京ニューシティ管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、といった具合ですから。

 当の東京フィルハーモニー交響楽団ですが、2001年に新星日本交響楽団と合併して団員数は日本一。オーケストラ公演のほか、新国立劇場でオペラやバレエのピットにも入って演奏し、NHKとは放送出演契約も結んでおり、公演回数も日本トップクラス。ルーツをたどれば、名古屋の呉服店(現在の松坂屋)の少年音楽隊として発足したのが1911年で、日本のオーケストラでは最古の歴史を持っていますから、少なくともこうした数値のランキングを見ても日本を代表するオーケストラです。ちなみに、東京都交響楽団は、東京オリンピックの記念文化事業として、1965年に東京都が財団法人として設立しています。

 雑誌のランキングでは10位に入らない日本のオーケストラですが、実力はどのように評価されているのでしょうか。巷では、世界的にみても水準が高い、と言われることもあるようですが……。
 これに関しては、昨年の12月に東京で興味深いシンポジウムが、文化庁と前述の日本オーケストラ連盟の主催で行われています。その内容は、アメリカ・英国・ドイツ・フランスの著名な音楽評論家が来日し、実際に日本のオーケストラの演奏をいくつか聴いた後に、日本の音楽評論家も加わり、意見交換をするというものでした。欧米の評論家たちは、日本のオーケストラの演奏技術や均質な音作りを評価する一方、オーケストラ団員に自発性が乏しいとの厳しい指摘をしたようです。演奏技術の水準が高くても、「指揮者に受け身で従っているだけの活気のない演奏」という評価では、10位内には入れてもらえないでしょうね。

 これらの指摘は、傾向としては一理あるかもしれません。ただ、昨今、団員から活気ある演奏をも引き出す素晴らしい音楽づくりをする指揮者を迎えた日本のオーケストラに、感銘を受けることが増えてきたようにも思われます。ぐっちーさんお薦めの東京都交響楽団では、フィンランドの指揮者ハンヌ・リントゥにより行われた今年1月の定期演奏会が絶品でした。今後では、パーヴォ・ヤルヴィを首席指揮者に迎えるNHK交響楽団の演奏が楽しみです。ぐっちーさん、いずれまたオーケストラのランキング話で盛り上がりましょうか!

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急告! コルネリア・ヘルマン、来日公演と新譜CD発売 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=163 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=163#comments Thu, 09 Oct 2014 02:11:11 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=163 続きを読む]]>

 大変ご無沙汰しております。
 本日は、昨年もご紹介したピアニスト、コルネリア・ヘルマンの来日公演のお知らせです。
 ご紹介がギリギリのタイミングとなってしまい大変恐縮ですが、10月9日午後7時より、東京の白寿ホールで『コルネリア・ヘルマン ピアノ・リサイタル』が行なわれます。
 演奏曲目は、得意のバッハとシューベルト。バッハはイタリア協奏曲とイタリアに関連のある作品を、シューベルトは「さすらい人幻想曲」と3つの最後のピアノ小品を演奏します。

 ヘルマンのライフワークでもあるバッハは、10月10日に発売される最新録音CDアルバム『J.S.バッハ:イタリア協奏曲』(カメラータ CMCD-25041)に収録された作品からピックアップしたものです。
 早速、最新盤の試聴用サンプルを聴いてみました。それぞれの作品の性格を的確にとらえた、ゆったりした楽曲ではたっぷりと歌い、テンポの速い楽曲では鮮やかなリズムで、ヘルマンのにこやかな表情が見えるような音楽の喜びに溢れた演奏を繰り広げていました。ヘルマン自身が書いた曲目解説からも、いかに彼女が真摯に喜びをもって作品に向き合っているかが伝わってきます。

 シューベルトの大作「さすらい人」の演奏も非常に楽しみです。
 会場の「白寿ホール」は、地下鉄代々木公園駅近くの、座席数300ほどの音楽専用ホールで、ピアノや室内楽などを聴くには最適の、贅沢な空間です。当日券は午後6時より販売されるとのこと。お時間のある方にはおすすめの公演です。

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ジョン・ウィリアムス日本最終公演と今後 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=158 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=158#comments Tue, 29 Oct 2013 02:43:35 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=158 続きを読む]]>

 日本公演のすべての日程を終えたジョン・ウィリアムスは、本日午前中に成田より無事帰国の途についたそうです。
 昨日の公演も、23日のすみだトリフォニー公演同様、とても素晴らしい内容でした。日本での演奏はこれが最後ということもあって、福田進一、鈴木大介、大萩康司、村治奏一などといった日本を代表する数々の実力派ギタリストの姿が会場に見られました。中には大阪、横浜、東京2回、計4回の公演を「追っかけた」という演奏家も! 彼らにとってもジョン・ウィリアムスは敬愛する憧れの存在のようです。
 公演を終えた彼に、今後の演奏活動について確認することができましたが、まず「ギターを弾くのをやめるわけじゃないよ!」の一言に安心。「でも、ソロのコンサート・ツアーはもうやりません。地元のイギリスでもね。」とのこと。ただ、協奏曲などをロンドンで弾く機会はこれからもあり、レコーディングも期待できそうです。新聞社、雑誌社、通信社などの取材を受けていたようですので、詳細は近いうちに掲載される記事をご覧いただければ、と思います。取り急ぎ、ご報告申し上げます。

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ジョン・ウィリアムス感動のすみだ公演、そして…… https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=154 https://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=154#comments Mon, 28 Oct 2013 04:10:33 +0000 加納ハルキ http://guccipost.co.jp/blog/kano/?p=154 続きを読む]]>

 去る10月23日、ギターの巨匠ジョン・ウィリアムスの東京公演が錦糸町のすみだトリフォニーホールで行われました。1800席ある大ホールはほぼ満員と言っていい盛況ぶり。やはり、今回の来日公演が日本で彼のライヴを聴く最後のチャンスだからでしょう。遠方から錦糸町を目指した人も少なからずいたようです。紫波町から駆けつけたぐっちー編集長もその一人といえるでしょうか。
 そして、その期待を裏切らない素晴らしい演奏! やはり彼のギター演奏から生み出される音楽は格別で、その豊かな表現力を改めて感じさせてくれました。ギター1本であれだけの音楽を奏でられる人は、ほとんどいないのでは?
 アンコールで奏でられたバリオスのフリア・フロリダのこの上なく美しい旋律を聴きながら、この演奏会場にいることのできた喜びをかみしめたのと同時に、もう彼が演奏会のために来日することがないのだ、ということが残念でなりませんでした。会場で演奏を聴いた人は異口同音に「まだまだできるのに惜しい!」と言っていましたが、まったく同感です。

 そして、今のところ会場でしか手に入らない彼の最新CD「STEPPING STONES」を入手しました。録音が今年の4月となっていますので、本当に最新録音ですね。来日公演にギリギリ間に合ったようで、まだ彼のホームページにも載っていませんでした。
 曲目一覧も見ずに聴き始めてびっくり。1曲目は何と、あの「さくら、さくら」の変奏曲(作曲:Yuquijiro Yocoh)でした。他の収録作品は、ジョン・ウィリアムスの自作の表題作「ステッピング・ストーンズ」や「オッド・ナンバーズ」以外は、スティーヴン・ゴス「マリルボーン・エレジー」、グレイム・ケーン「クローズド・ワールド」、フレデリック・ハンド「祈り」と言ったクラシックの世界ではあまり知られていない現代の作曲家の作品が並びます。いわゆる「現代音楽」ではなくメロディーの美しい小品で、繰り返し聴きたくなるものばかり。ハンドもゴスもギタリストですから、ギターの聴かせどころをよく心得ているのでしょう。

 このCDを聴いてしまうと、どうしても生の演奏で聴きたくなります。実は、そのチャンスが今晩あります! 本来、日本ツアーは26日土曜日の札幌で終了する予定だったようですが、本日28日、なんと東京で追加公演を行うのです。ジョンは、明日は成田から帰国してしまうそうなので、正真正銘の日本公演ラスト・コンサートです。
 今回の来日公演ではプログラムが2つ用意されており、後半は2つとも同じ内容です。すみだ公演はプログラムBでしたが、プログラムAでは、前半にバッハのリュート組曲第4番(原曲は無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番)とジョンの自作「マリンケ・ギターズ」、それと上記のハンド、ケーン、ゴスの作品が演奏されます。

 会場は、代々木公園近くのHakujyu Hall(白寿ホール)。白寿生科学研究所本社ビルの中にある300席ほどの小さいホールですが、これまでとてもよい演奏会が数々催されており、座席も座り心地がよく、私としては印象深い演奏会場のひとつです。席数が少ないので、料金は一般席15000円という金額ですが、演奏者に近い小さな空間で生音を聴けるとなれば、高すぎるとは言えないかもしれません。
 昼頃問い合わせてみたところ、当日券も少し発売されるようです。

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