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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2018/04/30 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(4/30~5/6)


ゴールデンウィークですね。今のところ好天が続き、最高の行楽日和。しかし、このメルマガは連休中もしっかり配信するのでご安心ください(笑)。

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先週の動き
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4/22(日)
・ソーントン国務次官補代行(東アジア・太平洋担当)が日韓を訪問(~27日)
・G7外相会合(トロント、〜23日)
・アフガニスタンのカブールで爆弾テロ
・パラグアイ大統領選挙(ベニテス元上院議長が勝利)

4/23(月)
・米財務省がロシアのアルミ大手ルサールに対する制裁を緩和すると発表
・金正恩朝鮮労働党委員長がバス事故で中国人が死亡したことを受け平壌の中国大使館を訪問
・韓国と北朝鮮が南北軍事境界線付近での宣伝放送を中止
・アルメニアのサルキシャン首相が辞任を発表

4/24(火)
・米仏首脳会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領がムニューシン財務長官とライトハイザー通商代表部代表らを数日中に中国へ派遣すると表明
・ポンペオCIA長官(次期国務長官の見通し)がハリス太平洋軍司令官の駐韓大使指名を求めているとの報道
・シリア支援国会合(ブリュッセル、〜25日)

4/25(水)
・朝鮮人民軍創建記念日86周年
・ASEAN首脳関連会議(シンガポール、~28日)

4/26(木)
・米上院がポンペオCIA長官の国務長官指名を承認、ポンペオ新国務長官が就任
・退役軍人長官に指名された大統領専属医のロニー・ジャクソンが指名を辞退
・米司法省が中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を捜査しているとWSJが報道
・米国の有名コメディアンで俳優のビル・コスビーが性的暴行の罪で有罪の評決
・ECB理事会(フランクフルト)
・ASEM財務相会議(ソフィア)

4/27(金)
・南北首脳会談(板門店)
・米独首脳会談(ワシントンDC)
・USTRが貿易相手国の知的財産保護に関する年次報告書を発表
・中印首脳会談(武漢、〜28日)
・ASEAN外相会議(シンガポール)
・NATO外相理事会(ブリュッセル)
・ユーロ圏財務相会合(ソフィア)

4/28(土)
・ASEAN首脳会議(シンガポール)

●南北首脳会談

世界が注目した歴史的な会談が終了しました。

以下の記事で述べたポイントから大きく異なる部分はなく、サプライズはありません。

「南北首脳会談」(4/23)

とはいえ金正恩が海外メディアの前に姿を現し、その一挙一動がリアルタイムで放映されたのは画期的なことでした。また、予想どおりの結果とはいえ、今後の展望を考える上でヒントになった部分はありました。

今週、この会談の意義とこれから予定される米朝首脳会談と北朝鮮の体制の展望について解説します。

●トランプと欧州(独仏英)

まずフランスのマクロン大統領の訪米ですが、予想以上にうまくいき、マクロンは大いに株を上げました。

マクロンは、トランプより30歳も若く、エリートでインテリというトランプとはある意味で正反対のキャラクターながら、トランプと親密な関係を築くことに成功しました。

トランプはマクロンのふけを払って「完璧にしてあげないと。彼は完璧なのだから。」と述べるなど親愛の情を隠さず、異様なまでにいちゃいちゃした光景は米国TV番組でネタにされたほどです。

そして、議会では、一転して英語で「make our planet great again」という「make America great again」を皮肉った得意のフレーズを用いて真っ向からアメリカ・ファーストを批判。

トランプに迎合したとみられるとフランスでは支持を失う恐れがあるので、国内向けポーズもあるでしょうが、米国に代わる自由主義の守り手のような堂々たるパフォーマンス。トランプを制御するだけでなく世界のリーダーとして自身を演出しました。

登場当初は「突然変異体」「未確認政治物体(UPO)」などと言われ、得体が知れないところがあったマクロンですが、これまでのところ優れたコミュニケーションスキルとスピーディーな実行力を示し、国内外で威勢を高めつつあります。

英国での亡命ロシア人殺人未遂を受けて、欧州諸国が一致してロシアへの強硬措置を打ち出しましたが、これを主導したのもマクロンといわれています。

英国のメイ首相とドイツのメルケル首相が迷走し、求心力を失うのと対照的にマクロンは欧州のニューリーダーとしての地位を築きつつあります。アンヌ・フルダ『エマニュエル・マクロン-フランス大統領に上り詰めた完璧な青年』によれば、マクロンはナポレオンやド=ゴールを自身のモデルとし、フランスの「王」を目指しているとのことです。

イラン核合意を含め、今や欧州とトランプの関係を維持する最後の希望はマクロンにかかっているとまで言われています。

では、今回の会談の最重要アジェンダであるイラン核合意はどうだったのか。

マクロンはトランプの3つの懸念に応える新たな提案を提示しましたが、これを受けてトランプは「pretty good idea(かなり良い考え)」と述べました。これまでの言動と比べると驚くほど前向きな表現です。

もしかしたらトランプは5月12日にはとりあえずウェイバーを更新するかもしれません。そうなればマクロンの大殊勲ということになります。

もっとも、仮に5月を乗り切っても、今の調子ではまた次の期限にどうなるかは分かりません。マクロン自身も「いずれトランプは核合意を破棄する」という趣旨の悲観的な発言をしています。

おそらく最も現実的なシナリオは核合意は維持しつつ、これを補完する新たな合意を締結することですが、トランプとイランがそれで納得するかが問題となります。不透明な状況は続くでしょう。

次にドイツのメルケル首相の訪米ですが、ここでは通商もイランも平行線に終わり、首脳間の交流にも相変わらず見るべきところはなし。やはり欧州でトランプに相手にされるのはマクロンだけ・・という印象が強まりました。

最後に、トランプが7月に訪英することが決定。反トランプ感情の激しさから何度も延期されてきた訪問がようやく実現したものです。

ここでも通商とイラン核合意(それに二国間防衛協定)が主要アジェンダになるとみられます。メイ首相とトランプの仲はまずまず良好ですが、他方、メイ政権もイラン核合意も7月の時点ではどうなっているのか分かりませんね・・(笑)。

●ZTEの制裁と華為の捜査

華為(ファーウェイ)にイラン制裁違反の疑いで捜査が行われているとの報道。ZTEに続いて米国企業との取引が禁止される可能性があります。

「今週の動き(4/23~29)」(4/23)

ZTEと華為は中国を代表する二大通信機器メーカー。中国製のスマホはアジアに行くと市場を席巻しているのを目の当たりにします。それだけ中国を代表する産業になっているだけに、その制裁は中国の経済と社会に大きな衝撃を与えることになります。

ZTEと華為と取引をしている外国企業(米国と日本も含む)にも影響を与えることになるでしょう。そのインパクトは「貿易戦争」よりはるかに大きいものがあります。この点について解説します(※メルマガに限定)

●ポンペオ新国務長官と政権人事の混沌

マイク・ポンペオの国務長官指名も上院に承認され、無事に就任。上院本会議に先立つ外交委員会でも承認されており、外交委員会で承認されず本会議で承認される史上初の国務長官という不名誉は免れました(笑)。

承認の直後、サンダース報道官がツイッターでポンペオと金正恩の2ショットを公開し話題を呼びました。

ポンペオは早速NATO外相理事会に出席するためブリュッセルに出発。そのままサウジアラビア、ヨルダン、イスラエルを訪問します。

一方、退役軍人長官に指名された大統領専属医のロニー・ジャクソンは、勤務中の飲酒や不適切な薬品の処方が指摘され、指名を辞退。指名されたときは、組織を率いた経験はないが3代の大統領に仕えた実績はあり、人柄は良い・・と言われていたのにこんなスキャンダルが発覚。

このような経歴に傷がある人が閣僚に指名されることなど本来あり得ないはずでした。しかし、他に適当な候補者が見当たらない中、トランプの思い付きが優先され、しっかりしたデューデリジェンスを行うこともなく、見切り発車でゴーサインを出したのでしょう。

ゲイリー・コーン、レックス・ティラーソン、HRマクマスターといった重量級だけでなく、その下のハイレベルから中堅に至るまで、トランプ政権の高官が続々と辞任していることは以下の記事などで説明してきました。

「トランプ政権の新たなる混沌と貿易戦争(2)」(3/7)
「トランプの奔放な言動」(4/16)

上記記事で述べたように、トランプ政権では人材が枯渇しています。もともとこんな政権に入りたいと思う人は少なく、よほど愛国心がある人か山師ということになりますが、前者のまともな人たちがどんどん辞めています。そうするとますますまともな人は敬遠し、経歴が怪しい人しか残らなくなる・・という悪循環に陥ります。

国務省も、国務次官は6ポストすべてが不在(もともとシャノン次官とゴールドスティーン次官の2人しか就任していなかったが、今年になって2人とも辞任)。東アジア太平洋担当国務次官補には昨年11月にスーザン・ソーントン国務次官補代理が指名されましたが、いまだ上院の承認はされず、国務長官がティラーソンからポンペオに代わり、人事が撤回されるとの噂があります。

今後も人材の劣化は進み、政権人事の混沌は続きそうです。

●中印首脳会談

モディ首相の訪中は3月22日に北京で行われた中印外相会談で急遽合意されたものです。

モディは6月初旬に開かれる上海協力機構首脳会議に出席するため青島を訪問することが決定しています。それにもかかわらずその1か月前にわざわざ訪中するのは中国の強い要請があったとのこと。

先般の日中経済対話もそうですが、米国からのプレッシャーを受けて中国が多方面で外交関係を強化していることがうかがわれます。

「日中経済対話」(4/23)

武漢まで習近平が出向くのも異例ですから、中国側の熱の入れようが伝わります。モディ首相もツイッターで旅先での美しい写真を投稿し、中国の歓待をエンジョイしているようです。

昨年のドクラム高原での対峙に代表されるように中印関係は悪化の一途をたどっていましたが、こうした首脳間の交流は緊張緩和と信頼関係の再構築に貢献します。

「中国とインドの対立(1)/(2)」(17/9/14・19)

とはいえ両国の対立は構造的なものであり、偶発的な衝突や不信感の増幅を避ける意味で関係は改善するにしても、パワーゲームは続くでしょう。

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今週の動き
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4/29(日)
・安倍首相がイスラエル、パレスチナ自治区、UAE、ヨルダンを訪問(〜5/3)

5/1(火)
・FOMC(FRB、~2日)
・シンガポールのリー・シェンロン政権が内閣改造を実施

5/3(木)
・ADB年次総会(マニラ、~6日)

●シンガポールの世代交代

リー・シェンロン首相はかねてより2020年までに引退することを宣言しています。次期選挙は2021年1月までに行われる予定ですから、おそらく選挙の前後のタイミングで引退し、選挙後の新政権は後継の首相が率いるとみられます。

今回の内閣改造では若手の起用が目立ち、新政権を見据えた人事となりました。首相の最有力候補といわれるチャン・チュンシン(48歳)は最重要ポストである貿易産業相に就任。

これまでの首相の前職のポストであった副首相に就任していないので、いまだ他のライバル(ヘン・スイキャット財務相とオン・イェクン教育相)にも目があるといわれますが、個人的にはほぼチャンで決まりだと思います。

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あとがき
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北朝鮮のボディーガードの数と威容も目を引きました。特に金正恩を乗せた車がスピードを上げたとき、一糸乱れぬ見事なフォームで並走する映像はまるで映画か音楽のPVのようなユーモアとクールさがありました。

動画:12人の走るボディーガード、金正恩氏の車にピッタリ張り付く(4月18日付AFP)

彼らは能力のみならず、こうした視覚的効果も考慮して見た目も厳選されているとみられます。北朝鮮のこうした演出のこだわりは私も10年前に板門店を訪問したときに感じました。以下の記事で現地レポートを書いているのでご覧ください。

「北朝鮮・韓国の交戦」(15/8/24)

金正恩と文在寅が一緒にまたいだ軍事境界線の写真も載せています。私も、建物の中では境界線をまたいで北朝鮮側に踏み入れました(笑)。

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2 comments on “今週の動き(4/30~5/6)
  1. ぺルドン より
    追加

    北の護衛体形・・
    米国が取り入れているフォーメーション・・
    晴れ舞台を護衛に提供したのでしょう・・
    護衛の顔は緊張していなかった・・・
    ( ^ω^)

  2. KB より
    JDさんとSP

    連休だろうと、全くペースを変えずに配信し続けられるJDさん

    車がスピードを上げても、ペースを変えずに護衛するSP

    どちらも、頭脳や身体を日々鍛え上げているからできる技ですね。

    側から見ると涼しげでカッコ良いんですよね。真似できませんが尊敬です。笑

    しかし、このタイミングで、JDさん撮影の軍事境界線の写真をみると、これまた感慨深い…

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