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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2018/04/02 00:00  | 今週の動き |  コメント(3)

今週の動き(4/2~8)


4月になりました。春本番ですね。

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先週の動き
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3/25(日)
・金正恩が初の訪中(~28日)
・ムニューシン財務長官が米韓FTAの見直しで対米鉄鋼輸出制限を含む合意に達したと発言
・ポルノ女優のストーミー・ダニエルズのCBSインタビューが放映
・オバマ前大統領が都内で国際会議に出席、安倍首相とランチ
・ドイツ司法当局がカタルーニャ州前首相のプチデモンを逮捕
・サウジアラビアがイエメンから発射されたミサイル7発を撃墜、リヤドで1名が死亡
・ロシア・西シベリアのケメロボの大型ショッピングセンターで火災

3/26(月)
・欧米22か国が110人以上のロシア外交官の追放を発表
・中国人民銀行党委員会書記に銀行保険監督管理員会の郭樹清主席が就任することが決定
・エジプト大統領選挙(~28日)
・トルコ・EU首脳会談(ブルガリア)

3/27(火)
・CNNの世論調査によればトランプ大統領の支持率が42%に上昇
・サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がソフトバンクの孫正義社長と2000億ドル規模の太陽光発電プロジェクトの覚書に署名(NY)

3/28(水)
・トランプ大統領がシュルキン退役軍人長官の辞任と後任(大統領主治医のロニー・ジャクソン海軍准将)を発表
・ミャンマーの大統領にウィン・ミン前下院議長が選出

3/29(木)
・南北閣僚級会談(板門店)
・ライトハイザーUSTR代表が中国の知的財産侵害に対する制裁関税について2か月かけて決める方針を表明
・トランプ大統領がシリアからの早期撤兵に言及(オハイオ)
・ロシアのラブロフ外相が報復措置として米外交官60人を追放すると表明

3/30(金)
・ロシアが新型ICBM発射実験の成功を発表
・パレスチナ自治区ガザで大規模デモ

4/1(日)
・米韓合同軍事演習(~5月)

●金正恩の電撃訪中

金正恩にとって2011年に最高指導者となってから記念すべき初訪中、そして初外遊でした。

金正恩の訪中は、中朝関係がかつてないほど悪化していることから実現する兆しがありませんでしたが、もしこれが実現すれば、北朝鮮情勢に大きな方向性を与える重要イベントとなることは以下の記事で指摘していました。

「北朝鮮と中国、ロシア」(17/9/13)

それがこのタイミングで突然に実現したのはなぜか。

まず、その背景に米朝首脳会談があったことは間違いないでしょう。以下の記事で指摘していたとおり、これまで北朝鮮は米朝首脳会談に対して不気味なほどに沈黙を保っていました。ところが、今回の訪中後、トランプ習近平から「金氏が私(トランプ)との会談を楽しみにしている」という説明を受けたとツイートしました。

「ジョン・ボルトン新大統領補佐官」(3/27)

これにより、事実上、ついに北朝鮮の公式な立場が明らかになったと言えます。北朝鮮が本気であることが明らかになり、米朝首脳会談の実現可能性は大きく高まりました。

また、新華社の報道によれば、今回の訪中は金正恩の提案で実現したとのこと。おそらく事実でしょう。仮に中国が北朝鮮に訪中を要請したとしても、今までの北朝鮮の中国に対する挑発的な姿勢からすれば、その気でなければ拒絶されることは間違いなく、まずは北朝鮮がこれを望むかが最大のポイントだったからです。

以上からすれば、今回の訪中は北朝鮮から仕掛けたものであり、南北首脳会談、米朝首脳会談ともに、北朝鮮が主導権を握る一連の外交ゲームの中に位置づけられるとみるべきです。中国はこうした動きに同調したのであって、どちらかと言えば受動的な対応だったと考えられます。もちろん、それによって中国が得たものは大きかったと言えますが。

では、今回の訪中はどのような影響を与えることになるのか。

中国は金正恩を「熱烈歓迎」し、また、金正恩は「段階的な非核化」という金正日時代からの表現を用いました。こうなると、中朝関係はかつての良好な状態に戻り、また、北朝鮮の挑発的行動の自制を含む融和的な行動も、これまでの主張を繰り返していたに過ぎず、結局のところ、状況は元に戻ってしまったようにも見えます。

しかし、果たしてそうなのか。ここは、単純に以前の状況に戻ってしまったとはいえない余地が残っています。

このHP・メルマガで何度も述べてきたとおり、北朝鮮の内情は実際のところ誰にも分かりません。すべての推論は極めて限られた情報からの憶測であり、自信をもって「真相はこうだ」と語る人はむしろ信頼できません。

したがって、他の記事とは異なり、確証をもって見通しを述べることはできません。そのことを留保した上で、現時点での私なりの推論を述べます(※メルマガに限定)。

●トランプ政権の通商政策

通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミの追加関税の発動後、米韓FTAとNAFTAの交渉に動きが見えています。

米韓FTAについては、強制力のある為替条項の導入は見送られましたが、競争目的のための通貨安誘導を禁止する合意を付属文書に含めるなど、米国の要求が露骨に反映される状況が見えてきました。トランプ流ディールが機能していることが明らかになったといえます。

一方、NAFTAについては、ライトハイザーUSTR代表が「基本合意」に達することが可能との期待感があると発言し、交渉においても、原産地規則やISDS条項においてある程度の柔軟性を見せるようになりました。

カナダとメキシコとの立場の隔たりは大きく(原産地規則、ISDS条項、サンセット条項等)、追加関税によって両国が譲歩することは期待できない状況です。一方、トランプ政権は中間選挙を見据えて早期妥結を実現したい事情があります。そこで、産業界と議会の意向にも配慮して、強硬一辺倒の姿勢を修正し、ここで落としどころを探ることを決意したのでしょう。

では日本はどうか。麻生財務大臣は、二国間交渉に引きずり込まれることは断固拒否するとして、米側からの日米FTA交渉の希望も念頭におきながら、トランプ政権のペースに巻き込まれない姿勢を明らかにしています。

日本はあくまで米国とはTPPで経済統合を進めるという方針を貫くということを強い言葉で語っています。追加関税の適用除外は当面期待できないことになりますが、これはこれであり得る立場でしょう。

●トランプのスキャンダル

トランプと10年以上前に不倫関係にあったというポルノ女優のストーミー・ダニエルズが今度はCBS「60ミニッツ」に出演。

トランプは避妊せずにセックスしたとか、「君を見ると娘(イヴァンカ)を思い出す」と述べたとか、米国を代表する人気ニュース番組で生々しい話が語られました。

トランプはダニエルズとは性的関係にはなかったとして彼女の主張を真っ向から否定していますが、一方、トランプの個人弁護士はダニエルズとの間で締結していた口止め約束の義務違反で訴えています。これに対しダニエルズは契約の無効を主張して口止め料の返還を求めて訴訟を提起。

セックスしていないのに口止め約束を結んだのはなぜかといえば、それは友人である個人弁護士がやったことで、自分(トランプ)とは関係がないというロジックです。

他にも元モデルのカレン・マクドゥーガルが不倫関係と口止め約束を発表し、同様に契約の無効を主張して提訴。「彼はセックスのあと私にお金を渡そうとしたけど、それは悲しかった。私は真剣な気持ちだったから」など述べているとのこと。

こんなことが毎日のように米国のニュースをにぎわせています。同じことをする女性もこれからもっと増えそうです。米国の政治も嘆かわしい状況になっています。

もっとも、ただでさえ混沌が深まるトランプ政権に追い打ちをかけるような話に見えますが、ビル・クリントンのセックス・スキャンダルとは状況が異なり、これが政治問題になることはないでしょう。次に述べるように、トランプの支持率が影響を受けることもまずありません。

●トランプの支持率上昇

トランプの支持率が上昇していることは先週の記事でも述べていました。

「通商拡大法232条」(3/26)

今回のCNNの世論調査はそれを裏付けた格好です。大きな要因は経済の好調と言われていますが、最近の保護主義政策が「公約を守っている」と評価されていることも大きいのではないかと思います。

保護主義政策は、上記記事で述べたとおり、民主党からも評価されているという側面があります。

今後、米朝首脳会談をはじめ北朝鮮外交を進め、イランに強硬姿勢をとることで、さらに支持を得る可能性もあります。

先週はシュルキン退役軍人長官を海外出張での公金浪費を理由に更迭し、後任に大統領主治医で組織運営経験がまったくないジャクソン海軍准将を指名したことが話題になりました。毎週のように続く解任ラッシュですが、これもトランプ政権だから・・ということで特に影響を与えることはないと予想されます。

とはいえ、支持率は上がっているといっても、もちろん非常に低い水準(特に政権1期目としては極めて異例)であり、不支持が支持を上回っていることは事実です。しかし、この上昇トレンドとその裏にある米国民のセンチメントは理解しておく必要があります。

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今週の動き
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4/2(月)
・エジプト大統領選結果発表

4/4(水)
・ロシア・トルコ・イラン首脳会談(アンカラ)

4/6(金)
・ソウル地裁が朴槿恵前大統領に判決

4/8(日)
・ボアオ・アジアフォーラム(海南省、~11日)

●エジプト大統領選挙

シシ大統領の再選が確実です。落ち着いたところでエジプト政治の見方を解説します。

今週は「プーチンの時代(1):ロシア大統領選挙」の続きを書きます。

その中で、激しさを増す東西の新たなる「冷戦」について解説します。

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あとがき
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ミャンマーで拘束されたロイター記者の弁護団にアマル・クルーニーという女性弁護士が加わったことが海外では大きなニュースになっていましたが、どこかで見たなと思ったら、ジョージ・クルーニーの妻でセレブ国際弁護士として有名な人ですね。

この後、四方山話を書いていますが、メルマガのみ掲載します。

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3 comments on “今週の動き(4/2~8)
  1. ぺルドン より
    北・・

    狼少年の血筋・・
    核はthe Ruling Ring・・
    強力極まりないが・・持ち手を滅ぼす事もする・・
    金王はその指輪を嵌めている・・・

    中国の対米報復高関税・・食料品・・
    高くなれば・・国民の腹を直撃する・・
    腹に巻いた米国債・・手を当て見得を切らなかった・・・
    ( ^ω^)・・(笑

  2. KB より
    日本は蚊帳の外?

    スキャンダルが盛りだくさんでも、公約を守って「やることもやっている」と捉えられているトランプ大統領(政権)と、学園問題がなかなか収まらない安倍首相(内閣)。

    野党や国民、マスコミ、それぞれがこの結果の一端を担っているんじゃないかな、と思う今日この頃です。

    自分を含めて、もっとリテラシーを養って、真実を見ていかないと反省します。

    最近の報道では、「日本は蚊帳の外」という論調が圧倒的多数ですが、メルマガを読むと、日本の立ち位置や取るべき行動について、とても建設的かつ冷静な見方が展開されていると感じます。

    JDさん独自の、内外の情報を集約し、総合的に分析された結果と思いますが、大変参考になりました。

  3. KB より
    NETFLIX

    ところで、NETFLIXで”トランプ-アメリカン・ドリーム”というのが始まっていますね。
    トランプの友人やビジネスパートナー、宿敵などが出てくるらしく、楽しみです。
    英語の字幕もあるみたいなので、英語の勉強になるのでしょうか・・?(笑)

    トランプの友人にぐっちーさん、でないですかね?

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