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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2018/02/12 00:00  | 今週の動き |  コメント(2)

今週の動き(2/12〜18)


三連休はいかがお過ごしでしょうか。

先週の株価下落には驚かされましたが、米国経済の強さに変わりはないので、長期保有の運用には影響ないでしょう。

むしろ買い増しを検討できる絶好の機会とも言えます。それがどのタイミングなのか、見極めが難しいところですが・・これはぐっちーさんにお任せしましょう(笑)。

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先週の動き
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2/4(日)
・ASEAN外相非公式会合(シンガポール、~6日)

2/5(月)
・パウエルFRB議長の宣誓式
・ASEAN防衛相非公式会合(シンガポール、~6日)
・モルディブ政府が非常事態宣言

2/6(火)
・ペンス副大統領が訪日(~8日)
・台湾で地震

2/7(水)
・ペンス副大統領と安倍首相が会談(東京)
・ドイツのCDU・CSUとSPDが連立合意
・ロブ・ポーター大統領秘書官が辞任(元妻へのDV疑惑は否定)

2/8(木)
・ペンス副大統領と文在寅大統領が会談(ソウル)
・北朝鮮の朝鮮人民軍創建70周年
・つなぎ予算が失効

2/9(金)
・平昌五輪(平昌、~25日)
・日韓首脳会談(平昌)
・ペンス副大統領と安倍首相が会談(平昌)
・つなぎ予算を含む予算関連法が成立(政府閉鎖の解除)
・トランプ政権のスピーチライターであるデービッド・ソレンセンが辞任(元妻へのDV疑惑は否定)

2/10(土)
・文在寅大統領が北朝鮮代表団と会談、北朝鮮は文在寅を平壌に招待(ソウル)

●政府閉鎖と解除

つなぎ予算が失効し、政府閉鎖が起こりました。 ただしわずか数時間後につなぎ予算を含む予算関連法が成立。現実上の影響はゼロでした。先週述べた見通しのとおりです。

「今週の動き(2/5~11)」(2/5)

相変わらずの綱渡りでしたが、今回は、連邦歳出上限を引き上げ、国防費の増額、インフラ整備とオピオイド(鎮痛剤)乱用問題への対応資金、債務上限を来年3月まで凍結することが盛り込まれ、これまで激しく対立してきた大きな争点がかなり解決されています。これにより、次はつなぎ予算の期限である3月23日までに18年度の本予算成立を目指すことになります。

しかし、歳出上限の引き上げにより、税制改革とあいまって、財政赤字の大幅な悪化が予想されます。

共和党は、伝統的に財政規律を第一に掲げてきましたが、今彼らの主要アジェンダは「移民規制」になっています。移民さえ良ければ財政は気にしない、それにトランプ政権の国防費の増額、インフラ整備という政策が加わり、これに民主党の社会保障の拡充の要求を受け入れ、予算が歯止めなく拡大するかたちです。

先週の株価の下落について、その大きな要因として長期金利の上昇を挙げる見方が多いですが、そうであれば、その背景には財政の悪化、つまり大型減税とこれから予定される歳出拡大への動きがあるとみられます。そうすると、政権が何もしなければ(このまま何もできなければ)マーケットも緩やかな好調を維持したはず・・つまりまずかったのはトランプ政権の政策ではないか、トランプが余計なことをしなければ良かったのに・・という見方に傾きます。

そうすると中間選挙にも暗雲が立ち込めます。米国の実体経済が良くとも、株価の低迷が続けば、トランプ政権の失政という評価につながり、共和党が大幅に議席を減らす可能性が高まるでしょう。

●ホワイトハウス高官の辞任

ホワイトハウスの秘書官とスピーチライターが相次いで辞任。しかもいずれも元妻へのDV疑惑報道が理由とみられます。

こうしたモラルに関わる問題の多さは、トランプ大統領の個性に影響を受けているところが大きいとみられます。トランプは、ロジャー・アイルズビル・オライリー、そしてロイ・ムーアといった性的スキャンダルで批判された人々をことごとく擁護し、今回辞任した高官もかばう発言をしています。

そして、もう一つ、今回の辞任劇の余波は、ジョン・ケリー首席補佐官にも及んでいます。辞任したロブ・ポーター秘書官はケリーの右腕といわれ、全幅の信頼が置かれていました。今回の辞任の責任はケリーにもあるといわれ、自らも辞意を周囲に漏らしているという報道が出ています。

またトランプ政権の人事の混乱が始まるかもしれません。

●北朝鮮の軍事パレードと平昌五輪参加

平昌五輪スタートの前日に朝鮮人民軍創建70周年を記念する軍事パレードが行われました。

その華々しさが報道されていますが、一方、今回は、生中継ではなく録画、海外メディアの取材も直前でキャンセル、規模も比較的小さい点が注目されます。直後に平昌五輪を開催する韓国に配慮したという見方が有力です。

面白いのは、そうした論評を中国共産党の学者が述べていることです。非常に冷めた分析で、中朝関係の複雑な状況を反映したものとみることができます。

そして平昌五輪。これについては先週の記事をご覧ください。

「平昌五輪と北朝鮮」(2/8)

それにしても、際立っているのがマイク・ペンス副大統領の北朝鮮に対する強圧的な対応。

わざわざ立ち寄った東京での安倍首相との会談では「すべての選択肢が検討されている」と明言。韓国では、ソウルでの文在寅との会談の後、平昌で再び安倍首相と会談。平昌五輪のレセプションには遅刻して北朝鮮代表団との接触を回避。脱北者とも会談し、その場にはオットー・ワームビアの父親も同席。

北朝鮮に対してこれ以上ないほどに敵対的な姿勢をあらわにしています。ペンスというと、存在感がなく、実際働いていないと言われていましたが(副大統領とはそういうものですが)、エルサレム首都認定を見てもわかるとおり、原理原則には強くこだわるタイプなので、こういう儀礼的場面では最大限のパフォーマンスを見せるようです。

●ドイツの連立合意

昨年9月の総選挙からすでに4か月になりますが、長きにわたる交渉の末にようやく大連立の合意が成立。

連立政権が成立すれば、経済と外交の両面で大きな方針転嫁が起こると予想されます。

第2党SPDに属するハンブルク市長のオーラフ・ショルツが財務相に就任する見込みであり、そうなれば財政緊縮政策が転換されると予想されます。

またSPD党首のマルティン・シュルツが党首を辞任して外相に就任する見込みであり、そうなれば元EU議会議長のシュルツはEU強化方針をとると予想されます。フランスのマクロン大統領はこれを歓迎する動きとみています。

ただし、連立政権成立のためには全国46万人による党員投票の承認が必要になります。ここで承認がとれなければ再選挙という可能性もまだ残っています。

●モルディブの混乱

モルディブで非常事態宣言が出され、ヤミーン大統領が治安部隊を最高裁判所に突入させ、最高裁長官を拘束。

モルディブのようなリゾート地で何が起こっているのかと思うでしょうが、 この騒動の根っこには南アジアにおける大国間のパワーゲームがあります。今週解説します。

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今週の動き
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2/11(日)
・トランプ政権がインフラ投資計画を発表
・ティラーソン国務長官がヨルダン、トルコ、レバノン、エジプト、クウェートを訪問(~16日)
・マティス国防長官がイタリア、ドイツ、ベルギーを訪問(~17日)

2/12(月)
・米政府が議会に予算教書を提出

2/14(水)
・NATO国防相理事会(ブリュッセル、~15日)

2/16(金)
・ミュンヘン安全保障会議(ミュンヘン、~18日)
・米国とタイが主導する多国間合同軍事演習「コブラゴールド」開始(タイ)

●ティラーソン国務長官の中東訪問

シリアの国境地帯ではトルコによるクルドへの軍事作戦が続いており、トルコ訪問においてはその調整が主要議題になります。

「トルコによるシリアのクルド攻撃」(1/30)

米トルコ問題は悪化の一途をたどっており、シリア情勢の見通しの悪さもあいまって改善の糸口が見えません。決定的な衝突が回避できれば御の字という状況でしょう。

●米国とタイの軍事協力

毎年行われる多国間合同軍事演習「コブラゴールド」が実施予定。

米国とタイの長年にわたる同盟関係を象徴するイベントであり、これがスムーズに行われることは、クーデター後ぎくしゃくしていた米タイ関係が今はすっかり安定していることを示唆しています。

タイは、最近、総選挙がまたも延期される見通しで、事実上の軍事政権が続いていますが、国際社会で問題視されることはほとんどなくなり、特にトランプ政権になってから米国との関係も良好です。このことは昨年10月にプラユット首相が訪米したときに述べました。

「プラユット首相の訪米」(17/10/2)
「プラユット首相の米国訪問」(17/10/9)

今週と来週は、突発的な事態がなければ、久しぶりに東南アジア情勢を取り上げようと思っています。

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あとがき
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ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』を読みました。

人類学、生物学、社会学・・と分野横断的な視点から人類の文明史を俯瞰しており、壮大な知的刺激に富む本です。11年にヘブライ語で出版されますが、14年に英語など30もの言語に訳され、世界的ベストセラーになりました。

ジャレッド・ダイヤモンドが推薦文を寄せており、彼の『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』を思い出す人は多いでしょう。

個人的には、人類学・生物学の考察はニック・レーン『生命の跳躍』、思想の考察は伊東俊太郎・村上陽一郎・広重徹『思想史の中の科学』をあわせて読むと面白いと思います。

農業革命は実は人類を不幸にした・・という話は、それ自体は目新しいものではないですが、非常にストレートで分かりやすく説明しています。何となく村上龍『愛と幻想のファシズム』も思い出しました。

著者はイスラエル人の歴史学者。昨年には新たに『Homo Deus: A Brief History of Tomorrow』という本を書いており、近く翻訳される予定とのこと。これも楽しみです。

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2 comments on “今週の動き(2/12〜18)
  1. ぺルドン より
    サピエンス全史

    偶々僕も読んでいる最中・・
    ただ・・
    こんな風にカッ飛ばして・・いいのか・・
    知的冒険・・楽しみましょう・・・
    ( ^ω^)・・・(笑

  2. KB より
    お目付け役

    ティラーソンに続き、ケリーも先が見えないとは、、、。
    個人的に、トランプの発言についてはマーケットや私たちも「付き合い方」というか「距離感」がこの1年で分かってきたような気がしています。

    ただ、トランプの参謀が不安定になってくると、そうも言っていられません。

    これからの注目人物がまた一人増えました。引き続き、楽しみにしています!

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