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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2016/07/19 00:00  | 今週の動き |  コメント(4)

今週の動き(7/18~24)


先週の動きです。

7/12(火)
・南シナ海に関する仲裁裁判判断
・テリーザ・メイ内相が英国首相に就任
・バーニー・サンダースがヒラリー・クリントンを正式に支持

7/14(木)
・メイ首相が新内閣の陣容を発表
・北朝鮮、南シナ海領有権問題をめぐる日米韓外務次官協議(ホノルル)
・フランス・ニースでトラックが群衆に突入するテロ

7/15(金)
・ドナルド・トランプ氏が副大統領候補にマイク・ペンス・インディアナ州知事を指名
・ASEM首脳会議(ウランバートル、~16日)
・トルコで軍事クーデターが未遂に終わる

イベント目白押しの週になりました。

●南シナ海に関する仲裁裁判判断

ここまで中国の主張を全否定するとは、驚きの内容でした。「今週の動き(7/12~19)」で書いたとおり、これからのASEAN絡みの動きは面白くなりそうです。この件はまた詳しく取り上げます。

●英国の新内閣の発表

リアム・フォックスが国際貿易担当相、デービッド・デービスが離脱担当相、ボリス・ジョンソンが外相と離脱派3人を離脱交渉の責任者に据えたのは人事の妙ですね。ジョンソンの無責任な言動を抑えるという狙いもあるのでしょう。

●フランスのテロ

痛ましい事件が続きます。背景となる事情はとりあえず「パリ同時多発テロ」をご参照下さい。

「イスラム国」の犯行声明がありましたが、ローン・ウルフ型である可能性が高いです。ただ犯人はチュニジア人ということでナショナリズムに関わる問題にならざるを得ないでしょう。

●トランプの副大統領候補の指名

直前に浮上した予想どおり、インディアナ州知事のマイク・ペンスが共和党の副大統領候補に。

「選挙戦略」「副大統領候補(共和党)」などで書いたとおり、副大統領候補は、大統領が不得意とする分野を補完する、という観点から選ばれます。

ペンスは、生粋の社会保守派で、マイノリティや女性に対するアピール力はありません。しかし、正統派、実績もあり、手堅く、人格者(ペンスはラジオのパーソナリティーをしたことがあり、自身を「辛辣さを除いたラッシュ・リンボー」と称していた)ということで、いずれの面においても真逆をいくトランプの欠陥をある程度カバーすることが期待できます。理にかなった人選といえます。

最後に残った副大統領候補は、ニュート・ギングリッチクリス・クリスティ、ペンスの三人であり、トランプには選択肢がなかったのが実情ですが、この中でペンスが最良の選択であることにおそらく異論はありません。

もっとも、結局のところトランプの場合、いずれにせよキャンペーンは彼のワンマンショーとなりますから、ペンスの指名は大きな意味をもたないでしょう。せいぜい足を引っ張るリスクがない、という程度のことで、今後クローズアップされることはないと思われます。

なお、NYタイムズ/CBSの世論調査ではヒラリーとトランプの支持率がともに40で拮抗しました。

これは、ヒラリーのメール問題(訴追は免れたが嘘が明らかになった)に加えて、相次ぐテロや移民問題によりグローバル化の影の部分が強調されナショナリズムが高まっていること、また、国内でも、相次ぐ黒人と警察官の射殺事件により社会情勢が不穏になる中、経験ではなく権威主義的なタフネスが求められたことがヒラリーに不利に作用したのでしょう。

トランプ自身は相変わらず暗い見通しが続いており、ヒラリーが自らの失点と環境の悪化によって落ちてきた、という状況です。

ただし、バーニー・サンダースによるヒラリー支持の表明はヒラリーにとって大きな援軍でした。またとないタイミングだったと言えるでしょう。この点、ヒラリーにはまだツキがあります。

●トルコのクーデター未遂

衝撃の事態ですが、伏線はありました。背景にあるのはトルコの皇帝(スルタン)を目指すエルドアン大統領の強権的なリーダーシップです。

これについては「トルコの政策金利据え置きと総選挙」「トルコ総選挙」「トルコの再選挙」といった記事で累次述べてきましたが、ちょうどそろそろアップデートをしようと思っていたところでした。次回、詳しく解説します。

今週の動きです。

7/18(月)
・共和党全国党大会(クリーブランド、~21日)

7/23(水)
・G20財務相・中銀総裁会議(成都、〜24日)

7/24日(木) 
・ASEAN外相会合(AMM)
・ASEAN地域フォーラム(ARF)(ビエンチャン、~26日)

●共和党全国党大会

今週の最大の注目イベントです。本来は、大統領候補の下での結束を示す祝祭の場ですが、今回の大会はそれとはほど遠いものとなりそうです。果たしてどんな大会になることか・・・。

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4 comments on “今週の動き(7/18~24)
  1. ペルドン より
    追い詰められ始めたヒラリー・・

    誰を・・
    副に選ぶか・?

    何となく・・
    トランプ・・副で失敗したような・・

    ヒラリー・・その轍を踏むか・?

    戦いには・・誤算・ミスが憑き物・・
    最後にドジった方が負け・・・(笑

  2. JFKD より
    鳥越ほどでは・・

    ヒラリーも国務長官退任の際には、脳梗塞を患ったとか言われて心配されたものだが、長い選挙戦をボケずに戦っている。最後まで持つか心配だが。然るに、鳥越都知事候補はマスコミも野党と共謀し、必死にボケ隠しをやっているが、テレビの前では無力だ。ボケ隠しを止めたテレビ局も出てきた。民進党は討論・演説を逃げ続ける鳥越氏を、画期的な対話の選挙戦をしていると自我自賛。これは故意ということで野党の責任問題となるだろう。保守分裂で、せっかくの安倍首相のプレゼントを受け取ることができそうになくなってきた。もう間に合わない、どうしようもない、宇都宮氏はなに思う。
    こうなると衆院選が前倒しになる可能性もでてくるし、現に二階氏が安倍首相の任期延長を言い出した。

  3. 下北のねこ より
    共和党大会

    まとまりがなくて、青色の電飾が溢れていて、ついでに演説内容がミシェル・オバマさんからの引用。
    もしかして民主党大会なのかな??

  4. 空の財布 より

    つらつらと。
    世の中が良くなるには、そのためのエネルギーが必要。
    いくらかの余裕と言い換えれる?
    さすれば、追い込まれた世の中ではもはやそのエネルギーは無く、不満を核とする爆発物を着火させるしかない。
    遡れば日経平均4万円弱の時点で、仮にですよ、日本人がすべての持ち株を売り払い、現金に換えておれば…。
    結局、砂上の楼閣。
    今のヨーロッパやアメリカの状況は日本に居れば、実感不可能。
    平和な日本での魔訶不可思議な知事選挙、彼らにも理解不可能?
    ヒラリー氏が当選しても、これだけトランプ氏の人気が衰えない、アメリカ景気回復の恩恵に授かれない人が多い事の証?
    安全な日本がやはり一番か。

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