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2015/09/14 00:00  | 東南アジア |  コメント(2)

シンガポール総選挙


先週は後半バタバタして更新が滞りました。英語の記事は期待が高いようですが、なかなかアップできず申し訳ない気持ちです。色々なことをご紹介したいと思っているので、気を長くしてお待ち下さい。

今日は手短にシンガポールの総選挙について。

シンガポール総選挙 与党・人民行動党が圧勝(9月13日付ウォールストリート・ジャーナル記事)

与党PAPが圧勝するだろうという見通しは、『リー・クアンユー回顧録』の書評「シンガポール建国50年」で述べていたとおりです。上記記事にあるとおり、得票率が前回の60.1%から69.9%に上昇したのは大勝利といえます。

東南アジアではSNSやLINE等のサービスが大流行していて、いまや政治家の発信はホームページをしのぐほどになっていますが、リー・シェンロン首相は自身のフェイスブックで勝利を宣言し、一部コメントに対しては直々に返答して読者を驚かせています。よほど嬉しかったのでしょう。

(※HPといえば、ロシア人の友人との間で、クレムリンHPに最近アップされたプーチンのトレーニング姿が話題になりました。このセンス、謎すぎます・・・構図とかシャツとか、もっと何とかならなかったのか・・・笑)

(出所:ロシア大統領府)

ただし、前回の総選挙で野党労働党が勝利したグループ選挙区(アルジュニード)で、今回も労働党が50.95%の僅差で死守した点は特筆に値します。

グループ選挙区は、最多得票を得た政党が全議席を総取りできる選挙区で、多数政党すなわちPAPにとって有利な選挙を実現する重要なシステムです。PAPとしては、小選挙区で敗れてもグループ選挙区では絶対に負けないことが死活的に重要であり、前々回まではその不敗神話を続けてきたのですが、前回2011年の総選挙で、初めてアルジュニード選挙区で野党に敗北しました(これにより5議席を野党に奪われた)。

これが史上最低の得票率60%と並ぶ衝撃だったところ、今回の選挙では労働党がこの選挙区で再び勝利できるかが一つの焦点となっていました。今回も労働党が守り抜いたことは、将来の多党制の可能性をつなぐ重要なポイントといえます。

野党にとっての今後の課題は連携の強化でしょう。巨大与党に対抗するためには野党の連携が必要ですが、シンガポールの野党は8つあり、今回、一部の選挙区では複数野党が候補者を出し、共闘が実現しませんでした。

巨大与党に対する野党の連携がうまくいっていないのは隣国マレーシアでも同様で、この点は「マレーシア・野党連合の苦境」で詳しく述べました。

シンガポールには4月に出張しましたが、11月にまた行く予定なので、引き続き色々とレポートしたいと思います。

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2 comments on “シンガポール総選挙
  1. ペルドン より
    あれ・・JDさん

    プーチンのマスク被って・・
    何してるんですか・?

    シベリアトラのパンツの方が・・
    似合ってるのにさ・・・(笑

  2. K より
    もちろん

    通常(?)の世界情勢に関する記事も非常に参考にさせていただいてます。ところで、ときおりテレビのコマーシャル等でウケ狙いなのか真面目なのか判断に迷う時があるのですが、このプーチン大統領の写真も見れば見るほどどう受け取っていいのか迷いますね。

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